P11 国立国会図書館蔵
(読み)
一ツ犬 きよを本へて万 犬 志゛川をつ多ふと
いっけんきょをほえてばんけんじ つをつたうと
仏経(ぶつきやう)尓もいへるごとく王れも\/ とおし可け
ぶっきょう にもいえるごとくわれもわれもとおしかけ
やく飛゛やうよけのふ多゛をこひけ連バ平 二も
やくび ょうよけのふだ をこいければへいじも
あぐミ者て人 魚 を女 本うにし多と者゛可\/
あぐみはてにんぎょをにょうぼうにしたとば かばか
しくうちあけてもい王れ須゛せん可多奈く
しくうちあけてもいわれず せんかたなく
やくびやう神 のぶん尓して志まひ个るも
やくびょうがみのぶんにしてしまいけるも
おかし可りき
おかしかりき
(大意)
「一犬虚を吠えて万犬実を伝う」と仏教の経典でも言われているように
我もわれもと押しかけ、疫病除けの札を請われて、平次もどうしようもなく
もてあましてしまいました。人魚を女房にしたと打ち明けてもバカバカしく言うこともできず、しかたなく疫病神のせいにしてしまったのだが、それもおかしなことであった。
(補足)
「一犬虚を吠えて万犬実を伝う」、一人がでたらめを言うと,多くの人々がそれを真実として伝えてしまうものだというたとえ。
「仏経」、仏教の経典。お経。
「いへるごとく」、「ごと」は合字。
こんにちわ〜っと平次の長屋の戸をあけて、こんな食事風景が飛び込んできたら、きっと卒倒すると思います。
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