2023年6月24日土曜日

箱入娘面屋人魚 その23

P11 国立国会図書館蔵

(読み)

一ツ犬 きよを本へて万 犬 志゛川をつ多ふと

いっけんきょをほえてばんけんじ つをつたうと


仏経(ぶつきやう)尓もいへるごとく王れも\/ とおし可け

   ぶっきょう にもいえるごとくわれもわれもとおしかけ


やく飛゛やうよけのふ多゛をこひけ連バ平 二も

やくび ょうよけのふだ をこいければへいじも


あぐミ者て人 魚 を女  本うにし多と者゛可\/

あぐみはてにんぎょをにょうぼうにしたとば かばか


しくうちあけてもい王れ須゛せん可多奈く

しくうちあけてもいわれず せんかたなく


やくびやう神 のぶん尓して志まひ个るも

やくびょうがみのぶんにしてしまいけるも


おかし可りき

おかしかりき

(大意)

「一犬虚を吠えて万犬実を伝う」と仏教の経典でも言われているように

我もわれもと押しかけ、疫病除けの札を請われて、平次もどうしようもなく

もてあましてしまいました。人魚を女房にしたと打ち明けてもバカバカしく言うこともできず、しかたなく疫病神のせいにしてしまったのだが、それもおかしなことであった。

(補足)

「一犬虚を吠えて万犬実を伝う」、一人がでたらめを言うと,多くの人々がそれを真実として伝えてしまうものだというたとえ。

「仏経」、仏教の経典。お経。

「いへるごとく」、「ごと」は合字。

 こんにちわ〜っと平次の長屋の戸をあけて、こんな食事風景が飛び込んできたら、きっと卒倒すると思います。

 

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