2023年6月21日水曜日

箱入娘面屋人魚 その20

P8P9 国立国会図書館蔵

P9

(読み)

〽春゛いふん多いても

 ず いぶんだいても


袮やう可゛さ可奈

ねようが さかな


多゛可つて入 る

だ かってはいる


ときハま多

ときあまた


多゛可つて出ると

だ かってでると


いふ可らゑんぎ可

いうからえんぎが


王りい

わりい


〽此 とし尓奈川て

 このとしになって


女 本 うせんさくハ

にょうぼうせんさくは


きさ満の可ら多゛

きさまのからだ


じやァ袮へ可

じゃぁねえが


おひれの可゛くもんじや

おひれのが くもんじゃ


ぬしの口 さきのつり

ぬしのくちさきのつり


者り尓かゝ川ちやァ

ばりにかかっちゃぁ


あべこへ多

あべこべだ

(大意)

「何度も抱いて寝てやっても良いが

魚抱いて床に入ったときは、また抱いて床から出るというから

縁起が悪い」

「この歳になって女房を見つけようとは

おめぇの体じゃねぇが、余計なこった。

おめぇの口先の釣り針にかかっちゃぁ

あべこべだ」


(補足)

「さ可奈多゛可つて入るときハま多多゛可つて出る」、〔「礼記」『大学』の「貨悖而入者,亦悖而出」(貨悖(たからさか)って入っては、また悖(さか)って出ず)〕不正をして手に入れた財貨は,身につくことなく,すぐなくなってしまう。悪銭身につかず。なんとも高尚な洒落であります。

 平次のうわっぱりがボタンどめのようになっています。また股引も足首のところで締めています。この当時の漁師の姿なのでしょうか?足元には煙管一式がおいてあります。

 う〜ん、何遍見てもおこいはなんとも奇妙です。

 

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