2023年6月23日金曜日

箱入娘面屋人魚 その22

P10 国立国会図書館蔵

(読み)

此 のちつりふ年平 次やどと

こののちつりふねへいじやどと


可き多るふ多゛を者りおくべし

かきたるふだ をはりおくべし


志可る内 へハ王れち可川てハいる

しかるうちへはわれちかってはいる


まじといひおしへ王可れ个るよし

まじといいおしえわかれけるよし


世こぞ川ていひい多し

よこぞっていいいだし


札 を可いてもらハんと

ふだをかいてもらわんと


大 せい平 ニ可うちへ

おおぜいへいじがうちへ


つめ可け个れバ平次

つめかければへいじ


大 尓手こずる

だいにてこずる


〽平 次可しらをうちふ川て

 へいじかしらをうちふって


イヤ\/それハ飛可事 といへとも

いやいやそれはひかごとといえども


ミ奈\/袮川可ら者川可ら

みなみなねっからはっから


せうちせ須゛

しょうちせず


〽平 次さ満く多゛せ

 へいじさまくだ せ


おふ多゛をく多゛せ

おふだ をくだ せ

(大意)

『この後、釣船平次宿と書いた札を貼りおくべし。しかる内(家)には、

われ誓って入るまじ』と言い伝え、別れた」とのことを

世間は盛んに噂した。札を書いてもらおうと大勢、平次の家へ

詰めかけ、平次は大いに手こずった。

「平次は頭をふって「いやいやそれは間違いだ」というのだが

皆は何から何まで承知しませんでした。

「平次様お札を下さい。お札を下さい

(補足)

「札」、平仮名「れ」ではなく、漢字の「札」(ふだ)。

「平二」、「次」が「二」になってしまいました。

「大尓」、「おおいに」なのか「だいに」なのか悩みます。

「飛可事」、「僻事」(ひがごと)。間違いの意。

 平次はくだけて立膝ですが、お札をもらいに着てる面々は正座で、紋付き羽織を着ている人もいます。長屋のおかみさんのような人の髪型がなんか変わっています。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿