P2 国立国会図書館蔵
(読み)
かもの長 明 可゛方丈(者うじやう)
かものちょうめいが ほうじょう
の記(き)尓由く川 の奈可゛れハ
の き にゆくかわのなが れは
多え須゛して志可ももと
たえず してしかももと
の水 尓あら須゛与どミ尓
のみずにあらず よどみに
う可ふう多可多ハ可川
うかぶうたかたはかつ
きへ可川むすびて久 しく
きえかつむすびてひさしく
とゞまる事 奈しとハ昔
とどまることなしとはむかし
建暦(个ん里やく)袮ん中 のせりふ奈れと
けんりゃく ねんちゅうのせりふなれど
(大意)
鴨長明が『方丈記』に「行く川の流れは
絶えずしてしかももと
の水にあらず。淀みに
浮かぶうたかたはかつ
消えかつ結びて久しく
とどまることなし」とあるのは
昔、建暦年中の科白であるが
(補足)
この部分の大意はほぼそのまま現在でも違和感がありません。
「長明」、「明」のくずしじは古文書学習で一番最初に覚えるほど頻繁にでてきます。さらに「月」を部品にもつ漢字にほぼこの形が使われますので「月」のくずし字は最重要となります。
「由く川」、この時代の「や」は筆順が一筆書きで「ゆ」のように書くので現在の「ゆ」と間違えやすい。変体仮名「由」(ゆ)は左上から右回りにクルッと丸を書き縦棒になるのですけどその縦棒は中程で必ず揺れますのでわかりやすい。ここの「川」は変体仮名「川」(つ)ではなく、本来の「かわ」。
「多え須゛して」、平仮名「え」はあまりみません。変体仮名「須」(す)も「春」もよく出てきます。
「水尓あら須゛」、「水」のくずし字は、水に形がないように、とらえどころのない形。
「与どミ尓」、「ど」と「ミ」がつながって判別しにくいですが、ゆっくりなぞってみると、ちゃんと「ど」と三本の「ミ」が区別できます。変体仮名「尓」(に)は平仮名「ふ」とほとんど同じ形です。
「う可ふう多可多ハ可川」、方丈記のこの部分を知らないと、初見で読むのはやや難。「う」「可」の形が同じで「尓」「ふ」も似ているので難しい。
「久しく」、これもこの部分を知らないと、「可へし\/」とも読めます。
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