P3 国立国会図書館蔵
(読み)
海馬(可い者)のきよくのりとびうをのつ奈王多り
かいば のきょくのりとびうをのつなわたり
者満ぐり可゛志んきろうをふくミせもの
はなぐりが しんきろうをふくみせもの
多この八 人 个゛い奈ぞさ満\/いろ\/の
たこのはちにんげ いなぞさまざまいろいろの
志由可うを出しぜ尓をせしめんと飛し
しゅこうをだしぜにをせしめんとひし
めくよく心 ハ水 のそこまで
めくよくしんはみずのそこまで
お奈し事 奈り〽ふぐ者可りあつめて
おなしことなり ふぐばかりあつめて
きりミせ可゛できる个゛な
きりみせが できるげ な
おらもち川と
おらもちっと
て川本゜うを
てっぽ うを
者奈し尓
はなしに
由く
ゆく
へい
べい
〽志んきろうといふハ
しんきろうというは
らうそく
ろうそく
の見せ
のみせ
もの
もの
しや
じゃ
袮へ
ねえ
可
か
(大意)
海馬の曲乗り、トビウオの綱渡り、
蛤が蜃気楼を吹く見世物、
蛸の八人芸など様々色々の
趣向を凝らして、銭を稼ごうとひしめく。
金欲物欲はここ水の底でも同じである。
「フグばかり集めて、切見世ができそうだ。
おらもちっと、鉄砲を放しにゆくべ。
「蜃気楼というのは蝋燭の見世物じゃ
ねえのか
(補足)
海馬(かいば)はここではタツノオトシゴのことではなくてオットセイ。
蛤の蜃気楼は中国の故事で大蛤が吐く気で海中に楼台の形が現れること。
切見世は岡場所や吉原のそばにあった最下級の店。安女郎で梅毒に当たったことを鉄砲をうつに引っ掛けている。フグにあたるとはフグの別名「鉄砲」に由来するとも言われるが逆もあり。諸説あるようです。
日露戦争のとき戦場の兵士は「気象庁\/\/」と唱えながら戦ったとか。敵の玉が当たらないおまじないだったらしい。しかし、しばらくすると気象庁の予報も精度が上がり、つまり「たまにあたる」ようになって、すぐにおまじないは効かなくなったようです。
「飛しめくよく心は水のそこまで」、変体仮名「飛」(ひ)と「心」のくずし字がとても似ています。が、よくみると変体仮名「飛」は「ミ」の最後を引きずって右へ流れていますが、「心」は「云」を変形させたような形です。
蛤蜃気楼の店の前で口上を述べているのは木戸札、下の籠にもたくさん入っています、を手にしている木戸番。見せ前の提灯が邪魔してそのうしろの幟が読めません。「志」からはじまっていますけど何でしょう?気になります。
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