2023年6月17日土曜日

箱入娘面屋人魚 その16

P6P7 国立国会図書館蔵

P7

(読み)

〽アゝおれも

 ああおれも


里 うぐうもので

りゅうぐうもので


奈くハあハれ王れを

なくばあわれわれを


そ多゛てあげ天

そだ てあげて


ふきや丁可゛ し可

ふきやちょうがしか


両  ごくへ出せバき川と

りょうごくへだせばきっと


おちをとる可゛

おちをとるが


ぜひ奈くおしひものを

ぜひなくおしいものを


すてるぞせいじんの

すてるぞせいじんの


のちも可奈らず

のちもかならず


ミせものし尓

みせものしに


ミつ可らぬやう尓

みつからぬように


しろ

しろ

P6

〽者やく

 はやく


ちやう

ちょう


ちんを

ちんを


もつて

もって


ごされ

ござれ


あ可子の

あかごの


こゑ可゛

こえが


しま須

します

(大意)

「あぁ、俺も竜宮者でなければ

いとしいおまえを育てあげ

葺屋町河岸か両国へ出せば

きっと評判をとるだろう。

やむを得ず惜しいことだが捨てるぞ。

成人したあとも、きっと見世物師に

見つからないようにしろよ。」

「早く提灯をもってきてください。

赤子の声がします。」

(補足)

「里うぐう」、「ぐ」が「ム゛」にみえます。

「おしひものを」、「し」がわかりにくい。

「ミつ可らぬ」、ここの「つ」は平仮名。前の行の「つ」は変体仮名「川」でした。

 浦島太郎は波柄のしゃれた着流し、でもそのうえから腰蓑をして、どこまでも漁師にこだわります。

 

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