P14P15 国立国会図書館蔵
P14
(読み)
平 ニもとより飛んこう尓て
へいじもとよりひんこうにて
あるとき日奈しと多奈ちんの
あるときひなしとたなちんの
多ゝまりと可け合 尓
たたまりとかけあいに
せ可゛まれ奈んきし个る可゛
せが まれなんぎしけるが
女 本゛う人 魚 きの
にょうぼ うにんぎょきの
どく尓思 ひおん
どくにおもいおん
可゛へし尓この金 の
が えしにこのかねの
さい可くせんと
さいかくせんと
思 へども人 个ん
おもえどもにんげん
奈ミでさへ
なみでさえ
御ぞんしのよの中
ごぞんじのよのなか
五 文のくめんも出来ハ
ごもんのくめんもできば
こそさ須可゛里 うぐう
こそさすが りゅうぐう
うまれ由へミせものといふ
うまれゆえみせものという
ち可ミちへき可゛つ可須゛
ちかみちへきが つかず
と川ゝおつ徒志あんして
とつつおつつしあんして
(大意)
平次は言うまでもなく貧乏な者であるが、日済(ひな)しの借金と家賃の払いのたまりの取り立てに難儀していた。それを女房の人魚は気の毒に思い恩返しにと、これらの借金の工面をしようと思ったが、人間でさえ、ご存知の世の中、五文の工面ならばどうにかできるのだが、さすが竜宮生まれゆえ、見世物で稼ごうという近道に気が付かず、あれやこれやと思案して、
(補足)
P12P13は原本ではどのようなわけか裏返しに摺られたものが製本されています。ですので元に戻したものをP14P15としました。
「飛んこう」、貧公。
「日奈し」、日済し。「日済し金」元利を日割りで返済する,無担保の高利の金。
「多ゝまり」、たまり。
「と川ゝおつ徒志あんして」、読めてもすぐにはなんのことかと?
煙管一式、火鉢に鉄瓶と枕屏風。奥にはすだれと桶にお盆のようなもの。貧乏世帯の長屋にしては清貧の趣が感じられます。
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