2022年3月23日水曜日

桃山人夜話巻五 その45

P27 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

舞 久飛゛

まひ

まいくび


三人 の博徒    勝  負の

ミ多り 者゛くちうちせう ぶ

みたりのば くちうちしょうぶの


いさ可ひより事 おこり

      こと

いさかいよりことおこり


て公   尓とらハれ皆 死

 お本やけ     ミ奈し

ておおやけにとらわれみなし


罪 尓奈りて死可゛いを

ざい    し

ざいになりてしが いを


海 尓奈可゛し个るに三人 可゛

うミ        ミ多り

うみになが しけるにみたりが


首 ひとゝ古路尓より

くび

くびひとところにより


て口 より炎  を者き

 くち  本の本

てくちよりほのおをはき


可けた可゛ひ尓いさ可ふこと

かけたが いにいさかうこと


昼  夜やむこと奈し

ちう や

ちゅうややむことなし


(大意)

舞首

三人の博打打ちが勝負の

いさかいから事が起こり、

公にとらわれて皆死

罪になった。死骸を

海に流したところ、三人の

首がひとところにより

集まり、口より炎をはき

かけ、互いに言い争うこと

昼夜やむことはなかった。


(補足)

 この画では海の浪や渦や波しぶきはわかりますが、三人の顔の表情に描かれている細かい線がぼやけてしまっていてよくわからないのが残念です。同様に髪の毛も非常に繊細に描かれているのですが、絵師が得意としていたのではとおもえます。

「久飛゛」、変体仮名「久」(く)のかたちは「久」の筆順通りです。

「事」(こと)、「事」は異体字「古」+「又」。「こと」は合字。このあともいくつか出てきます。

「奈可゛し个るに」、平仮名「に」もつかうことはあるようです。

「ひとゝ古路尓」、すこし読みづらい箇所。

「た可゛ひ尓」、平仮名「た」の出番は少ない。

「いさ可ふこと」、変体仮名「可」(か)は「う」、「ら」、変体仮名「留」(る)などとまぎらわしい。ひとつだけにらめっこしていても読めません。

「昼夜やむこと」、ここの「や」は現在のと同じです。


 

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