2022年3月18日金曜日

桃山人夜話巻五 その41

P25前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

を切 春天又重  越も返 須刀  尓討 者多さんとしつ

 きり  ま多しげ  可へ 可多奈 うち

をきりすてまたしげをもかえすかたなにうちはたさんとしつ


連ども足 者゛や尓逃 天山 中  尓隠 れり五郎 ハ小

   阿し    尓げ さんち う 可く  こらう こ

れどもあしば やににげてさんちゅうにかくれりごろうはこ


三 太 可゛首 越可き切 天片 手尓血刀   をさげいづ

さん多゛  くび   きり 可多て ち可゛多奈

さんだ が くびをかききりてかたてにちが たなをさげいず


こ迄 もと又重  越追 可くる追ハれ天又重  かくれも

 まで  ま多しげ 於つ   於   ま多しげ

こまでもとまたしげをおっかけるおわれてまたしげかくれも


やら須゛ふ多ゝび出 天阿しらひし可゛い可ゝし多り个ん五郎

        いで                ごらう

やらず ふたたびいでてあしらいしが いかがしたりけんごろう


(大意)

を切り捨て、又重をも返す刀で討ち果たそうとした

が、又重は足早に逃げて山中に隠れた。五郎は小

三太の首をかき切って、片手に血刀をさげ、どこ

までもと又重を追いかける。追われて又重は隠れ

きれずに再び出て相手をしたが、どうたことだろうか、五郎


(補足)

 久しぶりの講談調子になってきました。やはりこのほうがおもしろい。

変体仮名「春」(す)と「須」(す)の使い分けは、詳しく調べればありそうな気がしますが、読んできた感じでは気分次第なのではないかと。

「刀(可多奈)」、最後の行に「刃(やい者゛)」があります。「刃を研ぐ」、「刀の刃がかける」の例のように、刃は刀の薄く鋭くして斬ることができるようにしてある部分。でも使い方は刃は刀の一部分には違いないので、刀の意味で使われているみたい。

「又重越追可くる」、「可へる」と読んでしまいました。

「阿しらひし可゛い可ゝし多り个ん」、「し」を読みとばしそう。「ゝ」も。

 

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