2022年3月2日水曜日

桃山人夜話巻五 その25

P15前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

第  四十 鍛冶可゛嬶

多゛以志ゞうかじ  者゛ゞ

だいしじゅうかじが ば ば


野根の助 四郎 国 延 ハ乱 連やき刃 の上  手奈り三 代  目

の禰 春けしらうく尓のぶ ミ多゛  者゛ ぜ うづ  さん多゛以免

のねのすけしろうくにのぶはみだれやきば のじょうずなりさんだ いめ


の養 子重 国 可゛妻 室 戸といふ所  尓刀  の料  の残 銀

 やうし志げく尓  つまむろど   ところ 可多奈 里やう ざんぎん

のようししげくにが つまむろどというところにかたなのりょうのざんぎん


を乞ひ夜尓入 天路 尓迷 ふ狼   多 く出 天取 まき

 こ よ いり ミち ま与 於本可ミ於本 いで とり

をこひよにいりてみちにまようおおかみおおくいでてとりまき


志可゛終 尓是 尓喰 ころさる其 妻 幽 霊 と奈り天

   つい これ くひ    曽のつまゆうれ以

しが ついにこれにくいころさるそのつまゆうれいとなりて


(大意)

第四十鍛冶が媼

野根の助四郎国延は乱れ焼刃の名人であった。三代目

の養子重国の妻が室戸というところに刀の料金の残金

を受け取りに行った。夜になって道に迷い多くの狼があらわれ取りまかれて

しまい、とうとう狼に食い殺されてしまった。その妻が幽霊となって


(補足)

「媼」(うば、おうな)、「女」+「囚」+「皿」。

「上手」、一文字に見えてしまいます。

「三代目」、目のふりがなが二文字にみえますが、これは変体仮名「免」(め)。

「養子」、「養」の下部の「良」のくずし字の形が、「銀」、「狼」、「喰」のその部分と同じような形になっています。

「取」のくずしじはほとんどがこの形です。平仮名「え」のようなかたちをひと筆書きして左端に「ゝ」。

「幽」のくずし字が「出」に似てます。すぐ右下に(最後の行にも)「出」がありますので比較。

 

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