P15前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
第 四十 鍛冶可゛嬶
多゛以志ゞうかじ 者゛ゞ
だいしじゅうかじが ば ば
野根の助 四郎 国 延 ハ乱 連やき刃 の上 手奈り三 代 目
の禰 春けしらうく尓のぶ ミ多゛ 者゛ ぜ うづ さん多゛以免
のねのすけしろうくにのぶはみだれやきば のじょうずなりさんだ いめ
の養 子重 国 可゛妻 室 戸といふ所 尓刀 の料 の残 銀
やうし志げく尓 つまむろど ところ 可多奈 里やう ざんぎん
のようししげくにが つまむろどというところにかたなのりょうのざんぎん
を乞ひ夜尓入 天路 尓迷 ふ狼 多 く出 天取 まき
こ よ いり ミち ま与 於本可ミ於本 いで とり
をこひよにいりてみちにまようおおかみおおくいでてとりまき
志可゛終 尓是 尓喰 ころさる其 妻 幽 霊 と奈り天
つい これ くひ 曽のつまゆうれ以
しが ついにこれにくいころさるそのつまゆうれいとなりて
(大意)
第四十鍛冶が媼
野根の助四郎国延は乱れ焼刃の名人であった。三代目
の養子重国の妻が室戸というところに刀の料金の残金
を受け取りに行った。夜になって道に迷い多くの狼があらわれ取りまかれて
しまい、とうとう狼に食い殺されてしまった。その妻が幽霊となって
(補足)
「媼」(うば、おうな)、「女」+「囚」+「皿」。
「上手」、一文字に見えてしまいます。
「三代目」、目のふりがなが二文字にみえますが、これは変体仮名「免」(め)。
「養子」、「養」の下部の「良」のくずし字の形が、「銀」、「狼」、「喰」のその部分と同じような形になっています。
「取」のくずしじはほとんどがこの形です。平仮名「え」のようなかたちをひと筆書きして左端に「ゝ」。
「幽」のくずし字が「出」に似てます。すぐ右下に(最後の行にも)「出」がありますので比較。
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