P19後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
も月 越見天命 越ちゞ免月 を奈可゛免てミの
つき ミ いのち つき
もつきをみていのちをちじめつきをなが めてみの
老 越奈げき多るう多挙 天可曽゛へ可゛多しからの
於ひ あげ
おいをなげきたるうたあげてかぞ えが たしからの
詩 尓も月 尓対 し天愁 ひ月 をミて命 をちゞ
う多 つき 多以 うれ つき いのち
うたにもつきにたいしておれいつきをみていのちをちじ
むると云 意 の阿ること筆 尓尽 し可゛多し是 尓依 多る也
いふこゝろ ふで つく これ より
むるというこころのあることふでにつくしが たしこれによりたるなり
(大意)
(このほかに)も、月を見て命をちじめ、月をながめてわが身の
老いを嘆いた歌を数え挙げるのも難しい。唐(から)の
詩にも月に向かい合っては愁い、月を見ては命を縮め
るという意味があることはとてもたくさんありすぎて記しきれない。
この桂男のはなしはこの唐のものによっているのである。
(補足)
「多るう多」、「う」がこのあとの「可曽゛へ可゛多し」の変体仮名「可」と同じ形です。次の「からの」では平仮名「か」がめずらしい。
「尽し」、「尽」のくずし字は「〃」を除いた部分が冠のようになります。
月の濃淡の柄が、うさぎであったり蟹であったり編み物を編む老婆であったりなどいろいろありますが「桂男」は知りませなんだ。
月で一番驚いた経験といえば、満月のときのその明るさでした。
真っ暗闇の中で満月に照らされて自分の影ができ、それが満月によるものだと知ったときの驚き、今でもはっきり覚えています。
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