P19前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
第四十二桂男
多゛以志ゞ う尓可つらをとこ
だ いしじゅうにかつらおとこ
月 の中 尓隈 有 俗 に桂 男 登云 久 しくミゐる時 ハ
つき 奈可 くま阿り曽゛く 可つらをとこ いふひさ とき
つきのなかにくまありぞ くにかつらおとこというひさしくみいるときは
手越出 し天ミる者 越招 く招 可るゝ者 命 ちゞ満るといひ
て 多゛ もの ま年 ま年 ものいのち
てをだ してみるものをまねくまねかるるものいのちちじまるといい
伝 ふ歌 尓〽ミる多び尓延 ぬとしこ楚う多て个り
つ多 のび
つたうう多に みるたびにのびぬとしこそうたてけり
ひとのいのちを月 ハ可ゝ袮ど此 外 尓
ひとのいのちをつきはかかねどこの本可に
(大意)
第四十二桂男
月の中に隈があり、それを俗に桂男という。これを長く見入る時は
手が出てきて見る者を招く。招かれた者は命をちじめるといい
伝える。歌に「見るたびに延びぬとしこそうたてけりひとのいのちを月はかかねど
(月を見るたびに命が延びてくれればいいのだけどなぁ、そうはならないかぁ、う〜ん。人の命を月は縮めたりはしないんだけど。)
このほかにも
(補足)
「四十二」、(よんじゅうに)ではなく(志ゞう尓)。「ゞう」が判読しにくい。
「久しく」、この「く」は変体仮名「久」(く)かも。「く」の上に「ゝ」のようなものがつくのが変体仮名の形です。
「ミゐる」、「ミ」の三画目がながれて「こゝ」のようにみえます。次行の「ミる」も同じ。
「招可るゝ」、「可るゝ」は同じような形が続くのでわかりずらい。
「命」のくずし字は「𠆢」+「予」+「ヽ」のような形が多い。
歌の部分は何度も読まないと難しいです。
月がだんだんと満ちてきて満月になり、今度は少しずつ細ってゆく。でもまた三日月から始まってそれを何度も繰り返す。そんなふうに自分の歳も延びてくれないかなぁと月を眺めているとぼんやりおもってしまうのだよ。なんか悲しいけど月のようにはならないのはわかっているんだけど・・・。月は人のいのちを月が欠けるようにはしないしね。
こんなような感じでしょうか。
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