P15後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
旅 人 越取 くらふこと於び多ゞし是 ハ狼 の鍛冶可゛かゝ尓
里よじん とり これ 於本可ミ 可じ
りょじんをとりくらうことおびただしこれはおおかみのかじが かかに
の里うつりし登曽゛郷 士逸 作 と云 もの白 毛 の狼 を
ごうしいつさく いふ 者くもう 於本可ミ
のりうつりそとぞ ごうしいっさくというものはくもうのおおかみを
こ路せし与り者゛ゞの出 天人 越とること奈しといへり
いで ひと
ころせしよりば ばのいでてひとをとることなしといえり
(大意)
旅人を取り食らうことがおびただしく、これは狼に鍛冶屋の妻が
のりうつったからだという。郷士の逸作というものが白毛の狼を
殺してからというもの媼(ばば)があらわれて人を捕ることはなくなったという。
(補足)
「四十」、つい「よんじゅう」と読んでしまいますが「しじゅう」。
「旅人」、振り仮名「里よじん」の「里よ」がわかりずらい。すぐ左の行に「の里うつりし」がありますが、こちらはどうにかすぐ読めます。
「鍛冶可゛かゝ尓」、平仮名「か」があります。上が変体仮名「可」で続くの避けたのかもしれません。
「郷士」、「郷」のくずし字がひどく単純化されていて見るたびになんでかな?とおもってしまう。
ニホンオオカミは人に絶滅させられてしまいました。シーボルトが剥製を本国に持ち帰ったものが残ってます。賢い動物と言われているのに、その賢さで生き残ることができなかった。それとも賢さを発揮して家で飼われる犬になったのかもしれません。一方で狼の食料であった鹿や猪は天敵が絶滅したためか増えすぎて手に負えなくなっています。ここは白毛の狼に復活してもらって、人を殺すことなく、猪や鹿、猿も獲ってほしいところであります。人間の身勝手が露骨ですね。
0 件のコメント:
コメントを投稿