2022年3月5日土曜日

桃山人夜話巻五 その28

P16後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

迷 ハ春阿る時 老 婆 とも成 天ゆく人 尓詞  越可け

まど    ときらう者゛  なり   ひと こと者゛

まどはすあるときろうば とおなりてゆくひとにことばをかけ


し登奇談  類 抄 尓出 多り金 陵  の絮 柳  ハ人

  き多゛んる以せう いで  きん里やう じよ里 う ひと

しときだんるいしょうにいでたりきんりょうのじょりゅうはひと


を招 きしと盧全 茶話尓志るし嶋 原  の柳  は

 ま禰   ろせんさ王    し満者゛ら や奈ぎ

をまねきしとろぜんさわにしるししまば らのやなぎは


客  越化  春登契 情 買 談  尓のせ多り油断  春べ可ら須゛

きやく 者゛可  个以せ以可ひ多゛ん     ゆ多゛ん

きゃくをば かすとけいせいかいだ んにのせたりゆだ んすべからず


(大意)

(人を)惑わしていた。ある時は老婆にも化けてゆく人に言葉をかけ

ていたと「奇談類抄」に出ている。(中国の)金陵(昔の南京)の絮柳は人

を招いたと「盧全茶話」に記され、嶋原の柳は

客を化かすと「契情買談」に載っている。油断してはいけない。


(補足)

「老婆とも」、(ろうばめとも)と「婆」を二度も読んでしまいました。お恥ずかしい。

「成」、ここの「成」のくずし字は、最初の一画目が残っているので筆順に従ったくずし字にだいたいなっているのがわかります。前行の下にある「成」は「求」と「斗」を合体させたような形。

「嶋原の柳は」、「嶋」の「山」は上部に冠のようになってます。平仮名の「は」は珍しい。

 一般庶民はきっと手にすることのない専門書を三冊もあげて、煙に巻くところが一番怪しい。

 

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