P23前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
きうでハちぎれ天血綿 のくれ奈ゐ尓曽ミ怒 れ
ち王多 い可
きうではちぎれてちわたのくれないにそみいかれ
るあ連者゛笑 ふ有 毛と是 人の 霊 越写 せし故 也
王ら 阿り これひと 連以 うつ ゆへ
るあれば わらうありもとこれひとのれいをうつせしゆえなり
慶 長 の比 迄 ハ人 形 ハ皆 土 頭 奈りし可゛伏 見の満 江
个いてう ころまで 尓ん个゛う ミ奈つち可゛しら ふしミ まんこう
けちょうのころまではにんぎょうはみなつちが しらなりしが ふしみのまんこう
斎 始 天木を以 天彫 し与りこの可多木頭 とハ
さい者゛じめ き もつ ゑり き可゛しら
さいは じめてきをもってえりしよりこのかたきが しらとは
(大意)
(眼を開)き、腕はちぎれて血綿が紅に染まり、怒って
いるものもあれば、笑うものもある。もともとこれらは人の霊を人形に移したためだからである。
慶長の頃までは人形はみな土頭であったが、伏見の満江斎
がはじめて木を彫って頭を作ってからというもの、木頭に
(なったという)
(補足)
読みにくくわからないところが何箇所かありました。いつもながら変体仮名「可」(か)と「う」「ら」は注意です。
「もと」、ここの「も」の変体仮名のかたちは「し」のようにかいて、最後がそのまま左回りに上がり横切ってSを下からかくようにして、今度は右回りに下に流すような感じ。最後の行にある「もの」の変体仮名「も」は小さな平仮名で「こ」+「ち」のような感じ。
「彫し」(ゑりし)、辞書には「彫る・鐫る」とあります。かたいものをくりぬくことを「えぐる」といいますが、「える」の名残でしょうか。
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