2022年3月26日土曜日

塩賣文太物語上 その2

P1上段 国立国会図書館蔵

(読み)

ひ多ちの

ひたちの


く尓の

くにの


志本や起尓

しおやきに


文 太といふ

ぶんたという


ものあり个り

ものありける


心  正  じき尓

こころしょうじきに


してふうふ

してふうふ


いと奈ミ

いとなみ


个り

けり


(大意)

常陸国(ひたちのくに)の

塩焼きに

文太という

者がいました。

心は正直であり

夫婦で住んでいました。


(補足)

「ものあり个り」、行末の「り」が「る」と迷いましたが、「あり」の「り」と同型なので「り」としました。文末の「个り」も同様です。

「心正じき」、最初「心」が悩んだのですが、下段に「心やさしく」とあり解決。

 彫師の腕はいまひとつのようです。字がゴツゴツしています。文太の左の裾のところに「文」とあります。表紙の娘の右袖に「小」とあったのはいたずら書きではなく、小しおの「小」でした。

かすれているところもあって、読むのはいささか大変です。

 

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