2022年1月31日月曜日

桃山人夜話巻四 その39

P23 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

野き川袮

のぎつね


きつねの挑  燈 の

    ちやうちん

きつねのちょうちんの


火をとり蝋 燭 を

ひ   らうそく

ひをとりろうそくを


食 ふこと今 毛

くら   いま

くらうこといまも


まゝ阿る事 に

    こと

ままあることに


奈ん

なん


(大意)

野狐

きつねが提灯の火をとって蝋燭を

食べることは今も

ときおりあること

である。


(補足)

提灯を「挑」という漢字を当ててますが、同じ音とはいえ無理矢理で上手ではありません。暗闇に灯りを挑ませるぐらいの感じでしょうか。

 旅人か通りががりの人がきつねに驚いて、なりふりかまわず逃げてゆきました。残された提灯を手にして大好物の蝋燭の火と立ち上る煙をみて、うっとり。自然と顔がほころんでしまいます。もう一匹は妻がなめおわるのを待ちながら、後脚で背中をポリポリ、気持ちよさそうです。秋もおわり、里山の夜のひとときでありました。

 

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