2022年1月2日日曜日

桃山人夜話巻四 その10

P5後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

己  可゛手尓可け天打 殺 春べし登のゝ志りてふ多

     て    うちころ 

おのれが てにかけてうちころすべしとののしりてふた


打 三打 うち多ゝき个れバ蛇 ハ頭  を多れ天いづこ

うちミうち        へび 可しら

うちみうちうちたたきければへびはかしらをたれていずこ


登も奈く逃 失 多り此 ことさら尓志る毛のも奈可

    尓げうせ  この

ともなくにげうせたりこのことさらにしるものもなか


里个る可゛其 夜母 の夢 尓一 ツの蛇 来 り天春ゞ

     曽のよ者ゝ ゆ免 ひと  へびき多

りけるが そのよははのゆめにひとつのへびきたりてすず


(大意)

わたしの手でもって打ち殺してやるぞ」とののしり、さらに二打

三打と打ちたたくと蛇は頭をたれてどこかへ

逃げていってしまった。この出来事はほかに知るものもいな

かったが、その夜子どもの母親の夢に一匹の蛇があらわれて、雀


(補足)

「手尓可け天」、この頁では平仮名「け」がよく使われています。「个れバ」のときに変体仮名なのはこれでひとセットのためでしょう。

「のゝ志りて」、「ゝ」を読み落としそうです。

「夢」(ゆ免)、ここでは変体仮名「免」(め)です。次頁にまたがる「春ゝ゛免」も同様。しかし4行目の雀の振り仮名は平仮名「め」となっています。何を使うかは気分次第と言うか変化自在。

 

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