P15後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
登有 妄 念 妄 想 のこゝ路ハ無学 文 盲 ゟ
阿りもう袮んもうさう む可゛くもんもう
とありもうねんもうそうのこころはむが くもんもうより
出 ると説可れ多れ者゛学 者るべき本どの分 際 尓
いつ と ま奈 ぶんさい
いずるととかれたれば まなばるべきほどのぶんざいに
於 天書 尓眼 をさらし天道 越志り己 れ可゛心
おゐ ふミ ま奈こ ミち をの こゝろ
おいてふみにまなこをさらしてみちをしりおのれが こころ
の善 悪 越弁 へ孝 悌 忠 信 仁 義礼 譲 を知
よしあし 王き こうて以ち う志んじん 連以ぜ う しる
のよしあしをわきへこうていちゅうしんじんぎれいじょうをしる
多ゝ人 尓ハ愚 奈ること尓迷 ふこと有 べ可ら須゛と思 べし
をろ可 まよ 阿る 於も
ただひとにはおろかなることにまよふことあるべからず とおもべし
(大意)
とあり、「妄念や妄想をもつ心は無学文盲により
出るのである」と説かれている。であるからそれぞれが学ぶことのできる身の程に
応じて本をしっかりと読み、道を知り、自分の心の善悪をわきまえ、孝悌・忠信・仁義・礼譲を知る普通の人には愚かなことに迷うことがあるわけがないと思うべきである。
(補足)
「奈し登登有」、文末文頭で「登」がダブってしまいました。
「ゟ」、「より」を一文字にした合字です。
「説可れ多れ者゛」、「可」が変体仮名「个」(け)のようにみえます。
「弁へ」、振り仮名に「ま」がありません。
南総里見八犬伝に出てくるのは「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」(の数珠の玉(仁義八行の玉))。
「多ゝ人尓ハ」、現在でも使われる「ただの人」(一般の人、ふつうの人)。
「こと」、合字ですが「ゟ」のようにフォントがありません。
「思べし」、拡大してみても振り仮名に「う」が見つかりません。
それぞれが分相応にしっかり学び儒学の教えを身につければ妄念妄想を持つこともなく愚かなことに迷うこともないというとても夜話らしからにはなしになってしまいました。
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