P6後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
多り両 頭 の蛇 奈んども仁 心 越可満へ天人 尓禍
里やう多う へび じんしん ひと 王ざハひ
たりりょうとうのへびなんどもじんしんをかまえてひとにわざわい
をさせ満じと思 ひ詰 多る善事 奈れバ遍びハ
於も つ免 ぜんじ
をさせまじとおもいつめたるぜんじなればへびは
をろ可尓し天鳥 獣 多り登も其 仇 越むくふ
とり个多゛もの 曽の阿多
おろかにしてとりけだ ものたりともそのあだをむくう
遍゛き所 も奈くま多王ざハひをい多須へきの
ところ
べ きところもなくまたわざわいをいたすべきの
なき満も奈し可ゝれバ勤 へきハ只 善 の一 ツ也
つと 多ゞぜん ひと
なきまもなしかかればつとべきはただぜんのひとつなり
(大意)
ふたつの頭がある蛇については情け深い心をもって人に禍が
かからぬよう思いつめた結果の善行であったから、蛇
は言うまでもなく鳥や獣であっても、その仕返しをする
べきところもなく、また禍を及ぼすこともなかった。
このようなことであるので勤めるべきはただ善のひとつのみなのである。
(補足)
「両頭」、「両」のくずし字は「ち」+「α」のような形。変体仮名「満」の両の部分もおなじようになってます。
「をろ可尓し天」、「を」の上半分がないようです。「蛇は愚かにして」の意ではなく、「〜は言うまでもなく。〜もとより」の意。だとおもいます。
「い多須へきのなき満も奈し」、「なき満」がどうもわかりません。致すことのない間もないだとあることになってしまってどうも変?
「勤へきハ」、振り仮名が「つと」になってますが「む」が消えているのか忘れたのか。
お隣の唐土の国から思想・文芸・宗教などたくさんの事柄が日本に入ってきているわけですが、桃山人さんはどうもはなしをまとめるにあたって、唐土云々を安易に用いすぎているような気がします。当時としてはそのことを確かめるすべなんて簡単にはできなかっただろうし、おはなしをまとめるにあたって唐土云々でちゃんちゃんばかりだと、読者の中には「なんでぇ〜またもろこしかよ」っておもう人がいたかもしれません。まぁそんなことは気にせず寝転がって読んで、ふぅ〜んで終わってよいのかも。
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