P19 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
野鉄 本゜う
のでつ
のでっぽう
北 國 の深 山 尓居る獣 奈り人 を見可け蝙蝠
本つこく しんざん ゐ けもの ひと 可ふ本り
ほっこくのしんざんにいりけものなりひとをみかけこうもり
のごとき物 を吹 出 し目口 をふさ起゛天息 を止
もの ふきい多゛めくち いき とゞ
のごときものをふきいだしめくちをふさぎ ていきをとど
免人 をとり食 ふと奈り
ひと くら
めひとをとりくらうとなり
(大意)
野鉄砲
北国の奥深い山にすむ獣である。人をみかけるとコウモリ
のようなものを吹き出し、人の目と口をふさいで息を止
め、捕まえて食ってしまうという。
(補足)
どうして野鉄砲というのかが気になっていました。なるほど画を見てみると鉄砲のように勢いよく旅人をねらって撃つごとく吹き出しているからのようです。玉はコウモリのようなものなのでしょう。画ではモモンガにも見えますが。
「野鉄本゜う」、「本」に半濁点「゜」があります。
ここでは「北」が楷書になっています。くずし字はまったく別の漢字で「小」+「ヽ」。
「蝙蝠」、振り仮名が「かふほり」。「かふ」はよいとして「ほり」は旧仮名遣いで「もり」と読めそうもないと思うのですけど。
「ごと」は合字「こと」に濁点。
「吹出し」、振り仮名「い」を読みとばしそう。
「ふさ起゛天」、漢字に濁点があるのは変ですが、「起」は変体仮名なので。
「人をとり」、「と」のかたちが上部が丸くなってます。拡大してみると一画目の最後を二画目に引きずっているためのようです。
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