2022年1月23日日曜日

桃山人夜話巻四 その31

P18前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

第  丗    二天 火

多゛以さん志゛う尓てんくハ

だ いさんじゅうにてんか


天 火尓て家 越やき焼  死せし人 所 ゝ 尓阿り去 所  尓

てんひ  いゑ   せう し  ひと志よ     さるところ

てんぴにていえをやきしょうしせしひとしょしょにありさるところに


天代  官  越勤  し者 春こしも仁心  奈く私欲 を可満

 多゛以く王ん つとめ もの    じんしん  しよく 

てだ いか んをつとめしものすこしもじんしんなくしよくをかま


へて下 ゝ 越志い多げ主 人 尓も悪 名  を負ハせ个る可゛

  志も       し由じん  あくみやう 於

えてしもじもをしいたげしゅじんにもあくみょうをおわせけるが


(大意)

第三十二天火

天火(てんぴ)により家を焼き焼死した人はあちこちにいる。ある所で

代官を勤めていた者がいたが、その者は少しも情け深い心がなく私欲のために

下々の者をしいたげ、主人にも悪い評判を負わせた。


(補足)

「天火」の読みを、題名では「てんか」とし本文冒頭では「てんぴ」、同じ言い回しや表現を避けるを徹底しています。「阿り」、「有」も混在しています。

「所々尓」、「々」を見落としそう。ここの変体仮名「尓」(に)は英文字小文字筆記体「y」とほとんどかたちが同じ。

「官」のくずし字は特徴的で、「友」の「一」を「冖」にしたような感じ。

 

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