P21前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
第 丗 三 野狐
多゛以さん志゛うさんのぎつ年
だ いさんじゅうさんのぎつね
野干 ハ蝋 油 漆 奈らび尓女 の氣血 越このむもの
や可ん らうあぶらうるし をん奈 き个つ
やかんはろうあぶらうるしならびにおんなのきけつをこのむもの
奈りと心 要 論 尓出 多り疑 ぶ可き毛の尓し天日の
志んやうろん 以で う多可゛ひ ひ
なりとしんようろんにいでたりうたが いぶかきものにしてひの
光 り越恐 連刃 をきらふ毛の越守 ら春る尓一 旦
ひ可 於曽 やい者゛ まも いつ多ん
ひかりをおそれないば をきらうものをまもらするにいったん
ハ信 越失 ハ春゛登いへども其 うむ尓至 り天ハ是 をわ
志ん うし奈 曽の い多 これ
はしんをうしなわず といえどもそのうむにいたりてはこれをわ
(大意)
第三十三野狐
野干は蝋・油・漆ならびに女の生気と血を好むもの
であると「心要論」に出ている。疑い深い性質で日の
光を恐れ刃(やいば)を嫌う。約束をさせると一旦は
守り信用を失うことはないが、それがいやになってしまうとこれを
(忘れてしまうという)
(補足)
「野干」、日本語変換でも普通に出てくるので通常の単語のようですが、恥ずかしながら、狐の別称であるとは知りませんでした。「野狐」の振り仮名に「♡」マークのようなものがありますが、「年」のくずし字で、変体仮名「年」(ね)。古文書などでは「◯」+「ヽ」のかたちがおおいです。
「油」の振り仮名に平仮名「あ」が使われています。
「気」のくずし字が「柔」に似ています。「汽」の「氵」をとったものがまとめて上部になって、「メ」or「米」が下部になります。
「疑ぶ可き」、振り仮名がありますがこれを読むのも一苦労。
「日の光」の振り仮名がかすれて読みづらいですがこれは漢字が読める。
「守ら春る尓」、この振り仮名もかすれてます。
「うむ尓至り天ハ」、「うむ」がしばし悩みます。辞書を引きました。「倦む」です。そういえば「倦まず弛まず」(うまずたゆまず)という言い方がありました。
眉唾な話をもっとそれらしく驚かすか呆れさせるかして誇大妄想的に膨らませて書いてほしいところですが、作者はここに来てややお疲れの様子・・・
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