P16後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
こと多 し赤 間可゛関 の蟹 ハ平家一 門 の人 の怨
阿可ま せき 可尓 いけいちもん ひと 於ん
ことおおしあかまが せきのかにはいけいちもんのひとのおん
霊 也と楚゛化 春べき物 も有らん尓蟹 と成 多ること
里やう くハ もの 可尓 奈り
りょうなりとぞか すべきものもあらんにかにとなりたること
笑 ふべし婦女 尓ハ登も阿連物 の部多る者 死し天
王ら ふぢよ もの ふ ものし
わらうべしふじょにはともあれもののふたるものしして
可ゝ類物 と奈ること此 比 平 家尓ハ愚人 のミ多 可りき
もの このころ ぐ尓ん 於本
かかるものとなることこのころへいけにはぐにんのみおおかりき
(大意)
(永く怨みをみせる)ことが多い。赤間が゙関の蟹は平家一門の人の
怨霊が化したものであるという。化すべき物は他にもあるだろうに、蟹になるとは
笑うべきことである。女子どもはともあれ、武士たるものが死して
このようなものになるとはこの頃の平家には愚かなものばかりが多かったのである。
(補足)
「赤間可゛関」、「間」や「関」のくずし字の「門(もんがまえ)」は「冖(わかんむり)」のなっているのが特徴です。ならば「門(もん)」のように中に何もない漢字のくずし字ではどうなるかというと、同じ行のにありました、「平家一門」。さすがに「冖」にはならなくて、ほぼそのままでした。
「有らん尓」、「ら」は形をなしていません。
「成」のくずし字が久しぶりに出てきました。新しい漢字として覚えたほうが良さそうです。
「物の部」、振り仮名は「もののふ」ですが、「武士」をそう読ませるのが多い。
平家蟹の甲羅にケチをつけ、平家一族を愚者扱いして話をしめてしまいました。なんともはや。
春泉子よ巻一序の気概はどこへいった。
0 件のコメント:
コメントを投稿