2022年1月29日土曜日

桃山人夜話巻四 その37

P22前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

第  丗    四鬼 熊

多゛以さん志゛うし於尓く満

だ いさんじゅうしおにくま


鬼 熊 ハ人 の目尓可ゝらぬ毛の奈り木曽尓てハとし

於尓く満 ひと め         き曽

おにくまはひとのめにかからぬものなりきそにてはとし


遍多る熊 越於尓く満とハ以へり夜深 天民 間 尓

   く満          よふけ ミん可ん

へたるくまをおにくまといいえりよふけてみんかんに


出 牛  馬 越引 出  し天喰 ふ尓人 の如 く立 て阿由

いでぎう 者゛ ひきい多゛  くら  ひと ごと 多ち 

いでぎゅうば をひきいだ してくらうにひとのごとくたちてあゆ


(大意)

第三十四鬼熊

鬼熊は人目に触れることはないものである。木曽では年

をとった熊を鬼熊という。夜が更けると人家のまわりに

あらわれ、牛馬を引き出して食い、人のように立って歩く。


(補足)

「熊」のくずし字が「鮭」にもみえます。「能」の部分は「能」のくずし字になっています。

変体仮名「毛」(も)のかたちは数種類あり、「もの」とセットで使われるときはほとんど、ここのかたちです。

「遍多る熊越於尓く満とハ以へり」、「尓」が「φ」のようにみえます。ここの「に」は英語筆記体小文字「y」のかたちだとおもいます。同じ行の最後にもこの「に」があります。

 

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