P22前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
第 丗 四鬼 熊
多゛以さん志゛うし於尓く満
だ いさんじゅうしおにくま
鬼 熊 ハ人 の目尓可ゝらぬ毛の奈り木曽尓てハとし
於尓く満 ひと め き曽
おにくまはひとのめにかからぬものなりきそにてはとし
遍多る熊 越於尓く満とハ以へり夜深 天民 間 尓
く満 よふけ ミん可ん
へたるくまをおにくまといいえりよふけてみんかんに
出 牛 馬 越引 出 し天喰 ふ尓人 の如 く立 て阿由
いでぎう 者゛ ひきい多゛ くら ひと ごと 多ち
いでぎゅうば をひきいだ してくらうにひとのごとくたちてあゆ
(大意)
第三十四鬼熊
鬼熊は人目に触れることはないものである。木曽では年
をとった熊を鬼熊という。夜が更けると人家のまわりに
あらわれ、牛馬を引き出して食い、人のように立って歩く。
(補足)
「熊」のくずし字が「鮭」にもみえます。「能」の部分は「能」のくずし字になっています。
変体仮名「毛」(も)のかたちは数種類あり、「もの」とセットで使われるときはほとんど、ここのかたちです。
「遍多る熊越於尓く満とハ以へり」、「尓」が「φ」のようにみえます。ここの「に」は英語筆記体小文字「y」のかたちだとおもいます。同じ行の最後にもこの「に」があります。
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