P17後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
ふとこ路尓入 連バこれ尓さ満多げらるゝこと奈しと云
いる いふ
ふところにいるればこれにさまたげらるることなしという
深 山 尓野可げと云 毛の有 名ハ可ハれども是 と同
さん の いふ ありな これ 於奈
しんざんにのかげというものありなはかわれどもこれとおな
じ野可げも名毛ミ越きらふよし深 山 の人 ハいへり
の や満 ひと
じのかげもなもみをきらうよしふかやまのひとはいえり
(大意)
ふところに入れておけばこれに襲われることはないという。
奥山に「野かげ」というものがある。名は異なっているがこれと同
じものである。「野かげ」も「なもみ」を嫌うという。奥山の人が言っている。
(補足)
前行「巻耳と云草越」、「巻耳」振り仮名が「奈もミ」とありますが、パッとみためは「ありミ」。拡大してみると確かに振り仮名通り。「云草」は「柔」一文字に見えます。
「野可げ」、ここではほぼ楷書の「野」。同じ読みでも表現をかえるのが習い。
今度は「深山」の振り仮名が「やま」になっています。二文字を「やま」とよませているのか「ふかやま」なのか、よくわかりません。前行では「深山」の振り仮名「さん」とありこれは「しんざん」でしょうけど。
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