2018年10月1日月曜日

紙漉重宝記 その52




P.22 と路ヽ草の種類 前半


(読み)
と路ヽ草 の種 類
とろゝくさのしゆるい


大  豆小 豆を作 る時候  等 し
多゛いづせうづをつくるじこうとひとし

春 生  じ花 さく。花 の中 尓
者るしやうじはなさく。はなのなかに

実を生  須゛。ちいさく六 角 有。
ミをしょうず 。ちいさくろっ可くなり。

胡麻尓似多り。虱  尓似多り。
ごまに尓たり。志らミに尓たり。

花 実用 立 奈し。根を用 由。
者奈ミようだてなし。袮をもちゆ。

左二図あり。木の象  、綿 木の
さにづあり。きの可多ち、わたぎの

古゛とし。
ご とし。


(大意)
とろろ草(とろろあおい)の種類。

とろろあおいの栽培は、大豆や小豆と同じ時期に作る。
春に芽を出し花が咲く。花の中に実ができる。小さく六角形である。
胡麻に似ているし、虱にも似ている。
花や実は役に立たなく、その根を用いる。
絵図にあるように、木の形は綿の木のようである。


(補足)
見出し。
「路」、「足」+「各」。なかなか難しい。
くずし字の偏はやっかいです。「種」は「禾」、これはまぁなんとかなるけど
「類」の偏は「米」+「大」だけど、くずすと「小」+「弓」みたいになっている。
「草」=「艹」+「早」、「早」のくずし字はなるほど、今まで見てきたくずし字になってます。

小豆(せうず)⇒(しょうず)、今では(あずき)ですが(しょうず)なんですね。
「作」のくずし字は特徴的で、その偏「乍」は「乍恐口上申上控」(おそれながらこうじょうもうしあげひかえ)などのように頻出です。くずし字もしっかり覚えて、読めるようにする。
時候(じこうと)、「と」が振り仮名があります。
「等」=「竹」+「寺」、「寺」のくずし字は「ち」or「る」のような形になります。

春夏秋冬のくずし字は大切です。
「春」は簡単なようで意外と難しい。下部の「日」が「云」になりますが、他のくずし方もたくさんあります。
「花」、連続で出てきてます。形がきれい。
「六角有」、振り仮名は「なり」になってますが、漢字は「有」。

「似」=「亻」+「以」、「以」のくずし字が「m」です。
「m」のようなくずし字になるのは他に「故」「処」などがあります。
「用」のくずし字は一画目の「ノ」がありません。

 図は丁寧に描かれています。
左側の隅に蝶がかわいらしく飛んでます。

扨、英国議会版を見てみると、


 あれっ、蝶々はどこ?
相変わらず、絵は雑ですが、黄色い花が二つ、蕾が二つ描かれています。

 アレレとおもって、もう一度もとの絵図をよ〜く見てみると、
花がありました。上の方に三つ、左真ん中へんに一つ。
蕾らしきものがいくつかあります。

黄色い花を描いてもわかりにくかったので、蝶をそっと隅に添えたのかもしれません。



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