P.29 5行目〜6行目
(読み)
一 白 大 極 上 吉 賀紙 、六 〆 入 代 銀 、九 拾 四五匁。
ひとつ しろだいごくじょうよしかがみ、ろくしめいりだいぎん、きゅうじゅうしごもんめ。
同 、中 物 同、 八 拾 五匁 。同 、下 物 、
どう、ちゅうものどう、はちじゅうごもんめ。どう、したもの、
同、 七 拾 匁 ゟ 五匁 。右 不景 気。
どう、ななじゅうもんめよりごもんめ。みぎふけいき。
漉 方 手許 。 一 楮 苧、三 〆 目代 銀 、六 匁 三 分。
春き可多てもと。 ひとつ こうぞ、さんかんめだいぎん、ろくもんめさんぶ。
此 草 个づり取 壱 貫 五百 目尓成。
このくさけずりとりいっかんごひゃくめになり。
件 の壱 貫 五百 目に天吉 賀紙 、一 〆め二千 枚
く多゛んのいっかんごひゃくめにてよしかがみ、ひとしめにせんまい。
(大意)
ひとつ 真っ白の最高級品吉賀紙は六締めで代銀94、95匁である。
同じく中級品では同じく85匁、同じく下級品では同じく70匁より75匁である。
これらは不景気のときの価格である。
紙漉き農家の稼ぎ賃。ひとつ 楮苧三貫目の代銀は6匁3分。
この(楮苧の黒皮を)削り取った白皮は1貫500目の量になる。
この1貫500目で吉賀紙が一締め、つまり2000枚できる。
(補足)
この紙漉重宝記は楮苧の育成方法から製紙工程・販売など一連の紙の元から消費者の末まで詳しく記されていますが、さらに原価や問屋との間の価格まで実に細かく書かれているのがひとつの特徴です。生産者と問屋との間の価格(原価)を明らかにしてしまうことは、双方にとって一長一短がありますが、ある程度の基準を示すもとして、その役目は果たしてきたのだとおもいます。
漢数字のオンパレードです。「五」が読めれば自身がつきます。「拾」がそのままで読みやすいです。「壱」も読みやすい。「二千枚」が「弐」ではありません。
「ト」は「分」(ぶ)。「分」のくずし字は「ミ」を裏返し、その右側に点です。
「漉方手許」の次に一つ書き「一」がきています。行頭にくるものばかりとおもってました。
「手許」(てもと)、暮らし向き、生計と広辞苑にあります。日本農書全集53では「原価」としています。それもなんかしっくりこないので、現代語訳に当てはまる単語を連想しました。
「稼ぎ」または「稼ぎ賃」はどうでしょう。
0 件のコメント:
コメントを投稿