2018年10月24日水曜日

紙漉重宝記 その75




P.29 4行目


(読み)
一   近 年 去 御国 尓て紙 漉 御糺   の節 、答  左之通。
ひとつ きん袮んさるみくににてかみすきお多ゝ゛しのせ川、こ多へさのとおり。

彼 地尓て盤、半 紙を吉 賀紙 といふ。
可のちにては、はんしをよし可がみという。


(大意)
ひとつ 最近ある国より紙漉きについての質問があったので、左記の通りに答えた。
なお、その国では、石州半紙のことを吉賀紙と呼んでいる。


(補足)
「節」は「竹」冠ですが、くずし字では「前」の上部分になってます。「答」でも同じです。振り仮名の「川」は「つ」。
くずし字になると冠部分が「前」の上部分や「艹」のような形になる字が多いです。
「半帋」、「半」がわかりにく。「帋」、紙の異体字です。「帋」「紙」の使い分け基準がしりたいところです。
「左」、「エ」が「ヒ」になっているのも異体字。


「和紙多彩な用と美 久米康生」に、ハリー・パークスが英国に報告するために収集した和紙などの一覧がのっています。当時混沌とする日本の世情の中で長崎・大坂・東京などからよくもこれだけ収集したなとおもわせる品々です。しかし一方、これだけの種類の和紙を大都市の紙問屋では全国から取り寄せ扱っていたのではないかともおもわれます。ですから、パークスはそういった問屋へ一声かければよかっただけなのかもしれません。


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