2018年10月12日金曜日

紙漉重宝記 その63





P.26 半紙漉之図 7行目〜最後まで


(読み)
ゴブリゝ  と云 。袮バり少  个れバ
ゴブリゴブリという。ねばり春く奈ければ

とろゝを、ま須。至  て可个゛ん物 也。
とろろを、ます。い多つてかげ んものなり。

竹 を以 てかきまぜ引 上 見れバ
たけをもってかきまぜひきあげみれば

海苔 のごとし。可个゛ん志るゝ也。 竹 尓可ゝら
ふのりのごとし。かげ んしるるなり。たけにかから

ざる本どに、こ奈累ゝをよしと春。
ざるほどに、こなるるをよしとす。

と可くよくゝ まぜる本どよし
よかくよくよくまぜるほどよし。


(大意)
ゴブリゴブリという音がする。粘りが少なければ
トロロアオイを増やす。その加減は大変に難しいものである。
竹棒でかき混ぜ引き上げてみたとき
棒の先についた楮苧の繊維はふのりのように見える。このときの様子で繊維の混ざり具合加減がわかる。竹棒の先に絡まなくなる程度が、こなれた状態でちょうどよい。
とにかく、十分に混ぜれば混ぜるほどよい。


(補足)
「ゴブリゴブリ」という音が、実感があります。
「个」が「々」とまぎらわしい。
「至」、頻出です。かたちでおぼえます。
「以」、「m」に似ている。しかし、偏と旁が原型を保っている感じ。
「累」(る)、この「る」は、はじめてです。小さい「冖」に「ふ」のようなくずし字。

「海苔のごとし」、「志るゝ也」の「ご」や「る」がわかりずらいです。

 この次の頁が「道具之圖」なのですが、ここの作業で使用する、
竹の棒(節がある)、外輪板(額のような型で四隅の直角がきりりとあざやか)、水のう、漉き船、湯おけが、意識的にクッキリと描かれています。漉いている人は手ぬぐいをほっかぶりをしているので女の人で、文中説明にある通り半紙を漉いているはずです。


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