2018年10月18日木曜日

紙漉重宝記 その69




P.28 其二 上段 最初〜7行目


(読み)
漉 多る紙 を
春起たるかみを

け多もろとも
けたもろとも

左のけ多持 せ尓
さのけたもたせに

も多せ、雫  越多らし置
もたせ、しずくをたらしをき

今 一 ツの个多尓天漉、 先 の
いまひとつのけたにて春き、さ起の

持 せ置 しけ多の紙 を
も多せおきしけたのかみを

う川し置。
うつしおく。


(大意)
漉いた紙は漉き桁と一緒に、図の(左側板に立てかけてある)桁もたせに
立てかけ、雫をたらしておく。
もう一つの漉き桁で漉き、先に立てかけておいた漉き桁と入れ替えて、
立てかける。


(補足)
紙を漉く工程で一番目にするものとなりました。ここまでに至る作業も気が遠くなる程でしたが、
このあともまだ気の抜けない作業が待っているのです。

 この工程の図で気づいたのが、桁もたせです。「半紙漉之圖」にも描かれていました。
ここの「其二」の図と同じものです。細かくいうと「半紙漉之圖」の方は桁もたせの中間に補強の梁がありますが、「其二」の方にはありません。

 桁もたせの水面に近い所に支えがふたつあるのがわかります。背負子の支えと同じようなものです。紙漉きではなくてはならぬ重要な道具のひとつのはずですが、先の「道具之圖」では説明されていませんでした。不思議なことです。

「左」の「エ」が「ヒ」です。
変体仮名のオンパレードです。春、起、多、尓、越、个、天、川、慣れるしかありません。

「半紙漉之圖」とここの「其二」には同じ漉き船が描かれています。
「其二」の絵全体からは、きりりと引き締まった緊張感が伝わってきます。

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