P.24 楮苧擲く図 最初〜5行目まで
(読み)
楮 苧擲 く図
そゝ里多ゝくづ
明日紙 を漉 んと思 ふと起
あ春かみを春可んとおもふとき
前 夜尓そゝ里をあらひ
ぜんやにそゝりをあらひ
翌 朝 より多ゝく尓
よくあさより多ゝくに
朝 飯 志可け置き
あさ者んしかけをき
尓へる間 多ゝけバよし
にへるあい多゛たたけばよし
(大意)
楮苧(こうぞ)擲(たた)く図
明日、紙を漉こうとおもったら
前夜にそそり(楮苧の白皮)を洗い
翌朝よりこれをたたく。
朝飯の支度をして、
ご飯が炊ける間にたたけば十分である。
(補足)
ようやくこの工程まできました。
よく目にする、水の中でじゃぶじゃぶするところまではあと少しです。
相変わらず変体仮名が振り仮名にも文章中にもたくさん出てきます。
「里」り、「多」た、「春」す、「可」か、「起」き、「尓」に、「志」し。
「擲(なげう)つ」、古文書では「打擲」(ちょうちゃく)として出てくることが多いです。
「思」、「田」がわかりにくい。
「夜」は比較的わかりやすいのですが、「朝」の「月」のくずし字に慣れる。
「置」、「直」のくずし字は頻出です。この部分が読めると、この部品を含む漢字の応用範囲がグッと広がります。
棒でたたく婦人の姿が丁寧に描かれています。
ござも藁で細かく編んだものでしょう。
棒は手元は丸棒状で真ん中から先端部分は四角の形状がわかるように描いています。
御婦人の姿勢がやや前かがみに、右手はこれから振り下ろそうと力を込めている様子がうかがわれます。「えいっ、えいっ」と掛け声が聞こえてきそう。
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