2018年10月13日土曜日

紙漉重宝記 その64




P.26 半紙漉之図 図の説明


(読み)
手冷 る由へ始終
てひゆるゆへしじう

湯をたぎらし折々
ゆをたぎらしおりおり

手越阿多ゝむる
てをあたたむる


(大意)
手が冷えるので始終
湯を沸かしておき、ときどき
手を温める


(補足)
「始終」の「終」の旁「冬」、わかりにくいですが、なんとなく「冬」に見えてくる。
振り仮名がこれではかえって読めません。漢字から類推する?
「折々」は頻出。「斤」がいつもながらわかりにくい。

絵師はここでも細心の筆使いで描いています。
漉き船の側板の直線や直角部分の正確さ、材の厚さも均一です。
中の楮苧やトロロアオイが混ざっている水も、よくかき混ぜているので
その水面が波立っている様まで描写しています。
湯おけの湯気の立ち具合、「湯をたぎらし」続けるのだぞと言っているようです。

Reports on the manufacture of paper in Japan より
14_Making the paper called "hanshi" です。



 こんな貧弱なみすぼらしい器具や道具で和紙を作っているのかと
当時19世紀の英国人はおもったかもしれません。
 もう、こんな絵に至っては感想する気も萎えました。
でも、ひとつだけ。
湯気だけは原画よりも立ち上がっている様子がモクモクと描かれています。
さすが、18世紀、蒸気機関発明の国、湯気の大切さは知っていたようです。




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