2018年10月11日木曜日

紙漉重宝記 その62




P.26 半紙漉之図 最初〜6行目まで


(読み)
半 紙漉 之図
はんしすくのづ


杉 原 奈どハけた重 く男  の職  也
春ぎ者らなどはけたをもくおとこのしょくなり

半 紙ハ女  漉 なり。春可んと思 ふ
はんしはおんな春くなり。すかんとおもう

本ど多ゝきか多め桶 の中 へ
ほどたたきかためをけのなかへ

入 置 し玉 越可ぎとりとろゝを
いれをきしたまをかぎとりとろろを

春いのう尓てこし、まぜけ多を持 て数へんまぜあハせ
すいのうにてこし、まぜけたをもちてすへんまぜあわせ


(大意)
半紙を漉く図

杉原紙などは漉き桁が重いので男の仕事である。
(石州)半紙は女が漉く。漉こうと考えている
量の分だけたたいたものを、丸く固めて桶の中に
入れておく。その玉から必要分をかきとり
トロロアオイを水のうでこし、混ぜ桁で数度混ぜあ合わせると


(補足)
やっと漉き船の工程になりました。
「杉原紙」、播磨国揖東郡杉原村(2005年まで兵庫県中部の多可郡加美町、現在は多可町加美区)で作られた紙。主に武家の公用紙として用いられた。(日本農書全集53より)
「けた」、漉き桁のこと。次の「道具之圖」に出てきます。お寿司や料理で使う、巻き簀(まきす)の大きいものを底面にしたお盆状のもの。
「すいのう」、以前にでてきました。不純物を取り除くための笊(ざる)類。
「まぜけた」、絵図の漉き船の左側の側板に立てかけてある額のようなもの。また、この枠に桁がぴったりはまり、漉き船の中でじゃぶじゃぶして紙を漉く。両方の目的で使ったのだろうか。

「杉」、「木」+「久」。
「数」、なんとなくわかりますが、くずし字の偏の「米」+「女」がわからない。
異体字で「米」+「攵」と書きますが、これかもしれません。

専門用語が句読点なしの文章に混じり、どこできるのかが分かりづらい頁です。
声を出して読み、区切りを探します。



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