2018年9月30日日曜日

紙漉重宝記 その51




P.21 楮苧再阿らふ図 


(読み)
楮 苧再   阿らふ図
そゝ里ふ多ゝびあらふづ


い可きへ入連、川 水 尓天、悪汁灰 の、類 をよく、あらひ
いかきへいれ、かわみずにて、あく者いの、るいをよく、あらひ

そヽぐなり。そ能うへ尓て、雫  をよく、多ら須なり
そゝぐなり。そのうへにて、しづくをよく、たらすなり


(大意)
そそり(白皮)を再び洗う図

白皮をいかき(ザル)へ入れ、川の流水で灰のアク汁などを洗い落とし
よくすすぐ。そうしてから、雫をよくきり、水気をとる。


(補足)
「連」、「れ」の変体仮名で頻出です。「辶」が下部の横線一本になります。
「水」、何度出てきても、なんの字だろうとおもってしまう。
「水」の字は、真ん中の「|」が対称軸になって両側が「く」とそれをひっくり返した形の3つです。わたしの覚え方ですが、最初の上部の点「、」が|のつもりで、二画目に左部分の「く」をひっくり返した字、三画目がそのまま右に筆を運び「く」を小さく書き、筆は右に流さないで左下に適当に流して格好をつける。これを何度も指でなぞるのですが、次に出てきたときにまた読めるかどうか心配。
「類」、振り仮名が(るい)(たぐい)のどちらなのか、わかりません。
「そ能うへ尓て」の「尓」は「耳」かもしれません。
「雫」はなんとかわかります。

「いかき」の大きさや形は用途に応じてたくさんあるはずですが、ここでは絵図のような普通の丸いよく見かけるザルでした。

 老婆の表情と髪の毛が今までとは比べ物にならないくらい、丁寧に優しく慈悲深く描かれています。横顔が微かに微笑んでます。でも裸足で寒そう。たすき掛けの背中のちょうちょ結びもかわいらしい。

ところが、英国版 10_Second washing of the "sosori" は



 金髪のお姉さんになっちゃってる!
冷たい水で何度も何度もさらさなければならない辛い作業をグッと受け止めて、老婆を描いた心情など微塵もありません。

 挿絵の丹羽桃渓(にわとうけい)が実際に現地へ足を運び、この老婆と話し込んだり、一緒に食事をしたり、川ですすぐ作業を見せてもらったのかもしれません。



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