2018年9月18日火曜日

紙漉重宝記 その39




P.17 同う春皮を削圖の上半分の5行目〜8行目まで


(読み)
黒 皮 ちり紙
くろ可ハちり可ミ

漉 尓用 由 これを
春くにもちゆ。これを

さる皮 と唱 ふ 是 を
さる可ハとと奈う。これを

川 尓て能 洗 ひ釜 へ入
かわにてよくあらい可まへいれ

煮類 其 後 くさら可し
尓る。そのゝちくさらかし


(大意)
 黒皮はチリ紙を漉く原料に用いる。これを
「さる皮」という。これを川でよく洗い、釜へ入れ
煮る。その後、腐らして、


(補足)
 「これを」、「是を」、とやはり同じ言葉を表現を変えてます。
「是」のくずし字は最初教えてもらわないと読めません。

 ここででてくる「ちり紙」は、わたしが中学生頃までお便所で使っていた紙と同じものなのでしょうか。薄黒いというか灰色でゴワゴワしており、おしりを拭くと痛いときがありました。
鼻をかむと、鼻周りが必ず赤くなりました。
また小学生の時、この紙を鼻紙としてもってゆくと友達に笑われたものでした。
恥ずかしいので誰にも見られないよう、教室のすみや廊下の端で鼻をかんだものです。

 紙漉きというと、大きな画板のような薄い箱を、風呂みたいな水の中へ出し入れして前後左右に揺する作業を思い浮かべます。しかしその工程までにはまだまだ程遠く、さらにたくさんの手間をかけなければなりません。江戸時代のこの重宝記以前、何百年も前からたくさんの失敗を繰り返し、多数の先人の試行錯誤があってこその和紙でした。



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