P.16 同皮を漬置く圖の7行目から最後まで
(読み)
画図の古゛とく
ゑずの古゛とく
い多し漬 置 也
いたしつけをくなり
棒 の中 を除 置 ハ
本゛うの奈可をよけをくは
可多げ可へ類手廻 し也
かたげかへるてまわしなり
一 日 一 夜つけ於起
いちにちいちやつけおき
てもよし
てもよし
こしがい多ア
こしがいたぁ
(大意)
図のように楮苧の皮を水にさらす。
棒の中央をあけて楮苧皮をかけてないのは
片方を入れ替えてかけ直すための準備である。
一昼夜つけておいてもよい。
「腰がいたぁ」
(補足)
「棒の中を除置く」理由がよくわかりません。
「図のごとく」とありますが、図では「棒の中」にも本数は少ないですが皮がかかっています。
図のようにさらせば、水にさらされる部分に差があるので皮全体が均等にさらされないことはわかります。なのでそうならないように、途中でひっくり返すなり、皮が棒にかかっているところを入れ替えるなりしなければなりません。
しかし、それらの作業は「棒の中を除置く」理由にはならない。
何か異なる作業があるのかもしれません。
「画図の古゛とく」の「図」がいままでの「圖」とは違います。「囗」の中が、筆記体の「y」の下を丸め、そのまま左上にすすみ、今度は右下へグニュグニュといった感じで流します。
「置く」のくずし字がきちんと「四」+「直」になってます。
「類」の偏、「米」+「大」がどうしてこんな形にくずされるのか、わかりませんがとにかく形でおぼえるしかなさそうです。ちょっと見た目が「弓」に似てる。
「廻」、「辶」のある、くずし字はとてもやっかいです。
「腰がいたぁ」と言っている御婦人、ほんとに痛そう。
「紙漉重宝記」すべての会話文の中で、一番しびれたのが、この人がもらした、この言葉でした。
皮を小川の中につけ置くと、板場の上で腰をトントンとしながら少しずつ伸ばし、「うー」とか
「あー」とか声をもらしながらため息が聞こえてきそうです。
いつの時代も変わりません。
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