2018年9月25日火曜日

紙漉重宝記 その46




P.19 楮苧煮多記の圖7行目〜10行目まで


(読み)
の趣   に追 々 入  一 時 尓煮 也
のをもむきにおいおいいれ、いっときに尓るなり

煮汁 ハそば可゛らを焼  此 灰 の
尓しるはそばが らをやき、この者いの

あくを取り煮 也  丹るに志多可゛ひ
あくをとり尓るなり。にるにしたが い

二本 の棒  に天芋 阿らふ古゛とくか記廻し ゝ
にほんの本゛うにていも阿らうご とくかきまわしかきまわし


(大意)
のように次々に釜へ入れ、二時間程度煮る。
煮汁のあくは、そば殻を焼いた灰を入れて
これらに吸わせて取る。煮るにしたがい
二本の棒で、芋を洗うように何度もかきまわし、


(補足)
「趣」=「走」+「取」、「走」はわかりにくいですが「取」はわかりやすいくずし字になってます。この二行後に「取」があります。
「趣に」の「に」ですが、「耳」の変体仮名でしょうか。
「追々」、よくでてきます。

「一時尓煮也」、「一時尓」(いっときに)が時間の「二時間」を表すのか、「同時に、一度に」なのか不明です。どちらでも意味は通じます。いずれにしても、「二時間程度まとめてじっくり煮る」ということです。実際の紙漉きの行程を見ればすぐにわかることなのでしょうが。

「そば」、この前の段落では「蕎麦」でした。
「此」のくずし字は頻出です。字体もいろいろあります。ここのくずし字が一番単純なもの。
「丹」(に)が久しぶりに出てきました。
「廻」、送り仮名があるので読めました。

 ところで、「重宝記」なる文献は、今で言うハウツー出版物や百科事典のようなもので、
この「紙漉重宝記」と同じく大阪が元祖であるといわれてます。100種類を超えて出版されていました。どうでもよい趣味的なものから、農業や諸産業に係るものも多数あり、それら出版物が全国に流布することによって、諸藩で大いに農業林業漁業諸産業が振興されたのでした。

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