2018年9月17日月曜日

紙漉重宝記 その38




P.17 同う春皮を削圖の上半分の4行目まで


(読み)
同 う春皮 を削  圖
どううす可ハをけづるづ

黒 皮 を春ご起捨つるなり
くろ可ハをすごきすつるなり

図の古゛とく庖 丁 尓て於さへ
ずのご とく本うてうにておさへ

前 へ引く黒 皮 悉   く去
まへへひくくろ可ハことゝ゛くさり

春川る也
すつるなり

(大意)
同じくうす皮を削る図

黒皮をしごき捨てる。
図のようにして庖丁で押さえ
皮を手前に引き黒皮をすべて削り取る。


(補足)
「捨る」、「春川る也」、ふたつの「る」が異なってます。「捨る」とつなげると「る」の上半分がなくなります。
「図のごとく」、こういう「図」のくずし字もあります。「囗」が冠になり、中の部分がその脚になります。くずし字では普通にあります。他の例は、「聞」のくずし字も同じで、「門」が冠になり、中の「耳」が脚になります。

 作業台が二人並んで仕事ができるくらい大きくて厚みもあり立派な台です。この作業台を作った職人もいるわけですが、それについても詳しく知りたくなります。
薄皮を削り取るのに、皮を左手の手首にまわしています。手前に引くときに結構な力が必要であったことがうかがい知れます。脇に火鉢があるものの、冬でも汗をかく仕事だったはずです。

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