2018年9月4日火曜日

紙漉重宝記 その25




P.11 楮苧賣買之事の下半分


(読み)
王しや
わしゃ

紙布の五枚 も
しふのごまいも

あれハ由起の中
あれはゆきのなか

でもさむふハ奈ア
でもさむうはなあ

をらハ本ん可゛んじ
おらはほんが んじ

宗  でござ流
しゅうでござる

や春ふう川天下 され
やすううってくだされ

奈む阿ミだ ゝ
なむあみだ なむあみだ

アゝか多じけ奈い
ああかたじけない



(大意)
「わしゃ 紙布が五枚もあれば雪の中だって寒ぅはなぁ」
「おらは本願寺宗です。安く楮苧を売って下され。
南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 あぁありがたいのぉ」


(補足)
 雪を「由記」と書いている。どうしてこんな当て字をするのかとやはりおもってしまう。
前ページにも出てきたが、会話体で記された文章、当時の人のしゃべる様はこんなふうだったのだろか。親しみがあります。

 安く売ってくれと言っている婆様は裸足、下はきっと土間。左手に持っている茶碗はなんのためでしょうか。

 紙布とありますが、当時すでに、衣料品として使われていたことがわかります。
和紙は文字を記すためのものだけではなく、実に生活の全てと言って良いぐらい多方面に使われていました。また16世紀以降日本にやってきた異国人が本国へ持ち出すだけでなく、輸出が盛んに行わてましたから、外国の博物館などには当時の和紙が保存されています。
現在でも、外国の美術品の修復には日本の和紙が欠かせないものになっています。


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