2018年9月12日水曜日

紙漉重宝記 その33




P.15 同賣買能事の上半分7行目まで


(読み)
五貫 目把 壱 駄 といふ時 ハ
ごかんめ多ばいち多゛というときは

三 十 貫 目也  於川とり五貫
さんじっかんめなり。おっとりごかん

目尓て右 の干 皮 銀 九  匁
めにてみぎの本し可ハぎんきゅうもんめ

十  三 匁  廿   匁  至  て凶 年ハ
じゅうさんもんめにじゅうもんめいたって个う袮んは

廿   八 匁  位  春る事 まれ尓
にじゅうはちもんめぐらいすることまれに

ぞ有 也  諸 国 へつミ出須
ぞあるなり。しょこくへつみだす

と記ハ引け物 多 し
ときはひけものをゝし


(大意)
 五貫目の束で「一駄」というときは
三十貫目のことである。(つまり一駄は6束)
おおよそ、干し皮五貫目で(品によって)銀九匁、十三匁、二〇匁、
ひどい凶年では二十八匁位することがまれにある。
諸国へ出荷するものには不良品が多い。


(補足)
 馬の絵が見事です。仕事中の馬には専用の草鞋をはかせて蹄を守る習慣があったのですが、ここではそのままになってます。「一駄」という単位、「駄」がつくのでなんとなく馬一匹が背負える重さと思ってしまいますが、約112kgもあります。まぁ運べない重さではない。しかし図では3束を背負っていますが 重さは15貫≒56kg なので大人一人分くらい。それとも馬に乗せやすいように両側と上の3箇所に分けただけなのかしれません。
馬を引く人は、脚絆もしっかりまき、すっかり仕事支度をしています。

「駄」の「太」はなんとか読めますが、「馬」が難しい。くずし字は偏がとにかくわかりずらいです。
「五」「壱」、しっかり読み取れるようにする。ここでは「拾」のくずし字が出てませんが、これも必須。
「匁」が「多」のくずし字とにています。
「有る也」がくっついているので判別しにくい。「有」は頻出です。
「物」のくずし字と、「於」の変体仮名が似てます。

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