2018年9月1日土曜日
紙漉重宝記 その22
P.9 l.7〜最後まで
(読み)
落 葉し 十 月 至 て苅 取 也 深山 に植 置 尓
らくようしじゅうがつい多つて可りとるなり。ミやまにうへをくに
猪鹿の患 奈可らんにハく多゛の
しゝのうれいなからんにはくだんの
猪鹿を打 取 楮 苧の本とりへ埋 ミ置 時 ハ志し来 ら須゛又 こやしにもよしと
しゝをうちとり可うそのほとりへうづみをくときはししきたらず またこやしにもよしと
北 国 人 の物 語 りせし事 あり 其 是非を知ら須゛
本つこくびとのもの可゛多りせしことあり。そのぜひをしらず。
(大意)
落葉し、10月になって刈り取る。山奥に植え、
猪や鹿の害の心配をなくすには、それらの
猪・鹿を仕留めて楮苧の畑のまわりへ埋めておくと猪鹿がやってこなくなり、また肥料にもなると
北国の人が話していたことがあった。その是非はわからない。
(補足)
「取」が頻繁に出てきます。頻出なのでしっかり形を覚えます。「趣」の旁でも頻出です。
「葉」が「義」の上部+「ふ」のようなくずし字に見えます。
「深」、旁が「原」に見えます。
「猪鹿」(しし)が「志し」に、前にも出たとおもいますが、毎度ひっかかります。
「北」のくずし字は特徴的、「置」のくずし字の真ん中部分「小」+「ゝ」と同じです。
「事」がいままでの「る」のようなくずし字と異なってます。
「須゛」、「ず」ですがこのページではたくさん使われてます。
害獣と今ではひとくくりに言ってしまいますが、当時からというか、きっと縄文時代後期頃から、人が作物を育て始めたときから、切っても切れない問題だったのでしょう。
狩猟をし、木の実を拾っての食生活のうちは獣たちと同じであったわけで、特に問題はなく、あったとしても、お互いのテリトリーの奪い合いか譲り合いぐらいだったはずです。
狼や他の動物を根絶やしにしてしまった人間が、いちばん身近な猪や鹿や猿などがどうして生き残ってくることができたかが、不思議といえば不思議です。
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