2018年8月31日金曜日

紙漉重宝記 その21




P.9 l.4〜l.6まで


(読み)
至  て農 家の心 労 奈くして出来立 也
いたってのう可のしんらう奈くしてでき多つなり

其 上 紙 も少  可ら須゛当時 専   是 を作 る 此
そのうえかみも春く奈からず とうじもつハらこれをつくる。この


高 苧漸   寛 政 の初  より用  来 れる也
た可そようやくかんせいの者じめよりもちひき多れるなり。

紙 漉 草 少  可ら須゛故 常 体 可け目一 〆 目尓て
可ミ春きくさ春く奈可らず ゆえつ年ていかけめいっかんめにて


代 銀 弐匁  五分五六 リン◯右 各 諸 木尓同  く春 芽ぐミ夏 繁 茂し秋
だいぎんにもんめごぶごろくりん。みぎかくしょぎにおなじく者るめぐみ奈つ者んもしあき


(大意)
いたって生育・手入れの心配はなく育てることができる。
その上、出来上がる紙の生産量もわるくなく、現在ではほとんどこの高苧を作っている。
この高苧は寛政の初め頃よりだんだんと用いられて来た。
紙漉きの原料の草木は多いので、通常のひと束で1貫目は
銀2匁5分5、6厘する。右の各楮苧の木は、他の木々と同じく、春に芽を出し夏に繁茂し秋に


(補足)
5行目「寛政の初より」の「より」はフォントがありません。「よ」と「り」が合体して一文字になった字です。合字といます。「占」の字を左斜めにずらしたような感じ。
「也」のくずし字「之」みたいのが何箇所かにでてきます。小さくて見逃しそうですが、句読点のない古文書にあっては、ここがひとつの区切りであることを示しています。
春夏秋冬のくずし字では「春」「夏」がなかなかやっかい。

 変体仮名と出てくる漢字のくずし字はほとんど既出のものばかりになりました。

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