2018年8月27日月曜日
紙漉重宝記 その17
P.8 l.1〜l.3まで
(読み)
谷 間 堤 奈どに生 育 春といへども新 田 尓過 る事 奈し
多尓あひつゝミなどにせいいくすといえども志んでんに春ぐることなし。
折 〃 糞 を入 遍゛し 夏 盤
をりをりこえをいれるべ し。奈つは
日やけをいとふ也 雨 過 る年 ハのび過 天夏 秋 の風 のために傷 む也
ひやけをいとうなり。あめ春ぐるとしはのび春ぎて奈つあきのかぜのためにい多むなり。
其 上 猪鹿の
そのうえしゝの
多めに喰 連奴やう二用 意春べし 至 て好 喰 ふもの也
ためにくらハれぬようによういすべし。い多ってこのミくらうものなり。
者じめ芽ぐミせしも例 年
はじめめぐみせしも連い袮ん
(大意)
谷あい、堤などに生育するが、新田の周りほど適したところはない。ときどき肥料を施すこと。
夏は日差しから守り、多雨の年は丈が伸びすぎ夏・秋の風で枝が傷む。さらに猪や鹿が大変に好んで食べるので注意をすること。芽が出たものであっても毎年、
(補足)
「過」、「辶」はくずすと底辺に横棒だけのようになることが多いです。「咼」はくずすと「3」のような「る」のような、形になってます。
「折〃」、くずし字をこのまま形で覚えてしまいます。
「夏」、「其」+「久」のようにくずしてますが、
「夏秋」では「友」に似てくずしています。
くずし字が一通りだけに限られていることはないようです。
「年」はほとんどくずし字になってませんが、くずし字の方は頻出です。丸く円のような図形に近い。
「猪鹿」で「しし」と読ませてます。
最近、日本全国で猪や熊、猿、その他の動物の被害をニュースで頻繁に見かけます。
江戸時代の文献を読むと、当時も大変な苦労をしていました。
作物ができる時期になると農民総出で夜間など音をたて、大声をだして獣が近づかないよう
夜を徹している様が記されてます。
現代ほど作物の種類も豊富ではなく、被害にあうことは直接生死に係る一大事でした。
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