2018年8月24日金曜日
紙漉重宝記 その14
P.7 l.1〜l.3まで
(読み)
是 を植 付 るにハ古 き根を分け尺 を二寸 七 八 分二切
これをうへつけるにはふるき袮を王け多けをにすんしちはちぶにきり、
根もと二寸 三 四分土中 へ埋ミ
袮もとにすんさんしぶどちうへうづみ
置也 西 国 尓てハ 九十 月 尓これを植 置 なり
をくなり。さいごくにては、くじゅうがつにこれをうへをくなり。
上 方 尓天ハ 正 月 尓植 る 尤 土地
可ミ可゛多にては、しょうがつにうゆる。もっとも、とち
の寒 暖 尓よりて違 うなるべし 植 付 し年 一 尺 本どのびる
の可ん多゛んによりて多可゛うなるべし。うへつけしとし、いっしゃくほどのびる。
二年 目尓二三 尺
にねんめににさんしゃく
と成
となり、
(大意)
こうぞを植え付けるには古い株を分けて、高さ(幹の長さ)を二寸七、八分に切り、
根元は二寸三、四分、土の中へ埋めておく。西国では九、十月に楮苧を植え付ける。
上方では正月に植える。もっとも、土地の寒暖によって違ってくる。
植え付けた年は一尺ほど伸びる。二年目に二、三尺となり、
(補足)
植=「木」+「直」です。また、置=「四」+「直」です。
なので、「直」のくずし字が似たような字になっています。この「直」のくずし字は頻出で、解読してゆくときの大きな手がかりになります。「所」のくずし字と似ているときがあり要注意です。
「植」の旁「直」が2通りのくずし字で、記されてます。
2行目「植置くなり」の「植」の「直」が「求」+「一」のようになってます。
同じ文面の中で同じ字を異なったくずし字で記すことがよくあります。
書き手の気分次第というところなんでしょうか。
「寒」はこれだけだと読めません。「寒暖」なら「暖」はなんとかなりますので、その上にくる漢字と文章の流れで「寒」?と予想がつきます。
その下の「違ふなるべし」、「韋」が「麦」のようにみえます。
一行目「分」のくずし字は頻出です。「彡」の右上に点「`」をうったような字です。
ここではこうぞの園芸書的な趣になっています。
江戸時代も此の頃になると、農作物の育て方や肥料について、さらに農機具の詳しい説明や使い方、作り方などの本が出版されるようになります。
それらの農作業機具の一部はつい最近まで、または今も使われているものがあります。
手紙漉きの道具類は、細かい改良はあるものの、基本的には当時となんら変わっていません。
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