2018年8月30日木曜日

紙漉重宝記 その20




P.9 l.1〜l.3まで


(読み)
故 價  安 く掛 目一 貫 目代 銀 壱 匁  六 分位
ゆえあ多ひやすく可けめいっかんめだいぎんいちもんめろくぶぐらい

◯又 高 苧といへる有  紙 の性  聊   あし
 またた可そといへるあり。かみのしやういさゝ可あし


个れども此 木至  て尺 長 く且   種 を取 尓根分 に及  春゛
けれどもこのきい多つてたけながくそのうへ多年をとるに袮王けにをよバず

挽 切 し木を植 置 芽を
ひききりしきをうへをくめを


出し又 糞  の心  遣 ひも真楮 苧能ごとくなら須゛して
だしまたこやしのこころつ可ひもま可うそのごとくならず して

能 出来田 地水 辺 を可まハ春゛
よくできでんち春いへんをかまハ春゛


(大意)
ゆえ価格は安く、一貫目の重量で壱匁六分位する。
また高苧というこうぞの種類がある。紙の製品としてはややわるいが
この木は背丈が非常に高く、その上、根分けをしなくても株を増やすことができ
ひき切った枝を植えるだけで芽を出す。また肥料は真楮苧のように気を使うこともなく
育ち、田地や水辺を選ばずに、


(補足)
掛目は重量のこと。全ページでは「可け目」でした。
代銀はその言葉どおり、「銀」での支払いという意味もあるし、現在の「代金」「価格」ということもあります。ここではどちらなのでしょうか。
「故」は頻出、「m」のようなくずし字も多いです。
「高」、どうしてこんな形のくずし字になるのかというものはたくさんあるのですが、これもその一例。
「有」は頻出。「月」のくずし字をしっかり覚えるとわかりやすいかもしれません。
「聊か」、(いささか)と読みます。ここのくずし字では「耳」が「原」に見えてしまいます。
ここ数ページにわたって、「至」(いたって)が何度もでてきます。書き手が好きな表現なのでしょう。
「年」、「ね」の変体仮名で「種」(多年)の振り仮名で小さく見にくいですが、◯のような感じにくずされます。
三行目真ん中あたり、「真楮苧能ごとく」の「能」は変体仮名。その下の「能出来」は(よく)で本来の意味。



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