2018年8月12日日曜日
紙漉重宝記 その2
P.1 l.5途中〜最後まで。
(読み)
是を 以 帝耕作の 餘力を 考へ 女子もよ 具
こゝをもって可うさくのよ里よくを可ん可゛へ尓よしもよく
これを製し 国 益 と春類紙の 品 多 し 爰 尓 半紙
これをせいしこく恵(え)起(き)とする可ミのし奈於(お)本(ほ)し。こゝにハ者(は)んし
漉 立の 阿らましを記し 生 業 のたより需ん 尓盤枝折
春起多てのあらましを志るしせい个゛(げ)ふのたよりも止めんにはしをり
とも奈らん事 を袮可゛ふ 且 紙 を交 易 春類の職 都會 尓
ともならんことをねが ふ。可つ可ミを可う恵きするのしよくとく王(わ)いに
(大意)
そこで農作業の余力で、女性も上手に紙を漉き、国の利益となっている紙の種類は多いのである。
この書では、半紙の漉き方の概略を記し、手に職を得ようとするものの道標となることを願う。
また、紙を売買する職業の人は都会に、
(補足)
実際の発音についてです。当時というかつい最近戦前頃までは実際の発音とひらがなの記し方が異なっていました。
小人(せうじん) → しょうじん
生業(せいげふ) → せいぎょう
耕作(かうさく) → こうさく
交易(かうえき) → こうえき
都会(とくわい) → とかい
などです。
「枝折」という言葉、万葉の歌の中にもでてくる古い言葉とは知りませんでした。
本の「栞」はここから派生したようです。(広辞苑より)
耕作の作のつくり「乍」のくずし字が特徴的です。
漢字のくずし字は書き順から想像しても変なことが多く、まるごと形として印象づけ慣れ覚えるしかないようです。
乍(ながら)は古文書では頻繁に出てくる漢字で、
乍恐奉願上候(おそれながらねがいあげたてまつりそうろう)など見出しとして頻出します。
変体仮名の元の漢字はひとつだけではなく、「あ」から「ん」までそれぞれ数種類ずつの漢字があてはめられています。
ここでは、「は」が「者」「盤」。「わ」が「和」「王」。「る」が「流」「類」などです。
昔の人がどうやって使い分けていたかは不明で、そのときの気分次第というかおもいつきの感じがします。当て字もおおく難儀します。
四行目に「をまつるや久し」とあります。
この「つる」がくっついています。くっついてしまって一つの文字(合字)になっている「与(より)」(似ている漢字を選びました)のようなものもあります。
一日4行程度でゆくつもりでしたが、なんか多い感じがするので減らすかもしれません。本日はここまで。
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