2018年9月20日木曜日

紙漉重宝記 その41




P.17 同う春皮を削圖の下半分すべて


(読み)
水 尓漬 し
みずにつけし

由へひら多ふ奈る
ゆへひらたふなる

馬の く川を
むまのくつを

臺  尓付 流
多゛いにつくる


さる皮 計  尓て漉 し
さる可ハ者可りにて春きし

ちり紙 を生  苧春゛起と云  性  よし
ちり可ミを志やうそず きという。しやうよし


(大意)
水につけておいたので、楮苧の皮は平たくなっている。
馬のための草鞋を台に敷き、その上で包丁で削る。

さる皮だけで漉いたちり紙を「生苧漉き」という。紙の質はよい。


(補足)
既出ですが、「水」のくずし字が難しい。何度も何度もなぞって覚えるしかありません。
「ひら多ふなる」、「ら」が「し」に見えてしまいますが、前行の「漬し」の「し」とは、あきらかに異なります。「る」がつながっているので、上半分がありません。
「流」のくずし字は必ず読めるようにする。
「斗」は「計」(ばかり)で、頻出です。

 江戸時代、荷物を運ぶ馬には蹄を守るために、馬専用の草鞋を履かせていました。馬へのしつけは上手ではなかったらしく、聞き分けなく馬の暴れている様子がよく記されています。
幕末頃異国人が乗馬している馬には蹄鉄がうってあるものがあり、それをみた日本の上級役人がその馬を一日借りて、同じように自分の馬に蹄鉄をうった話は有名です。


「その36」で紹介した、Reports on the manufacture of paper in Japan の
7_Removing the inner fibre です。



 ケチばっかりで恐縮ですが、1871年当時のイギリス議会が責任編集出版したものとはおもえないくらい稚拙です。
1)人物の表情や姿勢がなってない
2)文中に「馬のく川」とはっきり書かれているのに、それが描かれていない
3)台がひどすぎる。原図はしっかり細線の直線で見取り図となっていますが、模写では木端が二重線でフニャフニャ、木口は厚さも保ってなく線がなよなよ。
4)火鉢は火鉢になってない、これじゃぁ、かぼちゃです。いや「かぼちゃ」に失礼でした。

 この後の投稿でも、このレポートの絵を紹介してゆきますが、ぐちばかりになりそうです。


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