2020年1月14日火曜日

豆本 猫のはなし その8




 P.4

(読み)
せ多いを毛ち
せたいをもち

いつ可こどもゝ●
いつかこどもも

●あま
  あま

多
た

て紀
でき

ふ多
ふた

里奈可
りなか

よくくらして
よくくらして

いるうちこゝ尓ま多
いるうちここにまた

ごん本志゛りのく満といふねこ
ごんほじ りのくまというねこ


(大意)
世帯をもち、いつか子どももたくさん生まれました。
二人仲良く暮らしているうち、ここにまた、
ごんほじりのクマという猫が


(補足)
 父親のとらがあぐらをかき、ドテラみたいのを着て、子どもを懐に入れあやしています。
子猫は父親似なのか、父親は左耳ですが、右耳のところに同じような黒模様があります。
とらの首周りのうしろの白い、半紙を折ったようなのは何でしょうか?

 文章は、仕切りのついたてに書いたようになってます。

「せ多いを毛ち」、左隣の行の同じ位置にひらがなの「も」がありますが、それとくらべてもここのはひらがなの「も」にはみえません。なので「毛」の変体仮名としましたが、うーん?

二行目行末の●は、左斜め上の●につながる印。

「あま」、摺りが不明瞭で、よくわかりません。
「ごん本志゛りの」、意味は不明ですが、文章の流れから「心がけの良くない、遊び人」の意?


2020年1月13日月曜日

豆本 猫のはなし その7




 P.3

(読み)
多可゛い尓うちを
たが いにうちを

奴けい多゛し
ぬけいだ し

とうゝ 山 の
とうとうやまの

てのへん尓
てのへんに

可けおち
かけおち

して
して


(大意)
互いに家を抜け出て
とうとう山の手のあたりに
かけ落ちをして


(補足)
 講釈師がリズムよく語り進み、ぺぺんぺんぺんとハリセンと扇子で調子を取る音が聞こえてきそうです。

ここの「尓」は、ほとんど筆記体の「y」。
「多(た)」の変体仮名はおもしろい形です。「さ」の横棒をなくした形にちかいかな。
ひらがな「た」は「太」が崩れたものです。

「とうゝ山の」、「てのへん尓」、JRの山手線(やまのてせん)は、1945年〜1971年までは「やまてせん」と呼ばれてました。敗戦して日本を占領したGHQの指示と言われてます。何はともあれ、昔からの読み方に戻ったのは嬉しいことです。


 P2,P3見開きです。



 画面の8割をしめる黄色い雲のような部分から駆け落ちするこまととらの投げかける視線は、夜半の二階の窓から見送るおこみさんの視線とぶつかります。その視線同士がぶつかるあたりにおこみさんの手燭があり、暗がりの中、見えなくなるまで照らし続ける明かりが揺らぎながら全体をまとめています。吹き出しのように黄色い雲のようなものは揺らぐろうそくの灯りなのでしょう。


2020年1月12日日曜日

豆本 猫のはなし その6




 P.3

(読み)
とても
とても

この
この

とこ
とこ

ろ尓
ろに

てハ
ては

ふ多
ふた

里い
りい

つ志
っし

よ尓
ょに

ふう
ふう

ふ尓
ふに

奈る
なる

こともて紀奴由へあるよひそ可尓
こともできぬゆえあるよひそかに


(大意)
とてもこのところでは二人一緒に夫婦になることもできないので
ある夜、ひそかに


(補足)
 あわただしい雰囲気がなんともおかしく、いいなぁ~~。
こま「おこみ姉さん、ゴメンナサイ・・・」、
とら「きっと、きっと、こまをしあわせにしやすから・・・堪忍してくだせぇ」。
二人はおこみ姉さんのほうをふりかえりつつ、いそぎます。

 こまととら、顔形がそっくりで、色柄も同じです。似た者夫婦。
とらは紺の縦縞の着物に帯、刀を差して、裾を端折り、こまは赤い振り袖、手ぬぐいを頬被りし端を口でくわえる仕草、二人相携えイザかけ落ちです。
にゃんこなので足は裸足です。

 一行二文字づつが続きます。
1行目「とても」、「と」が「こ」にも見えてしまいますが、
2行目「この」、「こ」が「と」に見え、わかりずらく、
3行目「とこ」とふたつ連続すると、ようやく、出だしの一画目で区別できそうです。しかし、文章のながれの意味からどちらかなのかきめるのがよさそう。

「ふ多里いつ志よ尓」、こうして一行にするとすぐにわかりますが、二文字ずつでは大変。

「ことも」、3行目では「とこ」でしたが今度は逆で「こと」。
「て紀奴由へ」、「て」に濁点がありませんけど。「ゆ」、筆の流れをみると「ゆ」になってます。

文章のリズムが、声を出して読むと、「タタタッ、タタタッ、タタタッ・・・」になってます。


2020年1月11日土曜日

豆本 猫のはなし その5




 P.2

(読み)
あさ
あさ

いふ
ゆう

ひざの
ひざの

うへを
うえを

者奈
はな

さね
さね

者゛
ば


(大意)
朝夕膝の上にのせて離してくれないので


(補足)
「あさ」、「あ」の一文字分右側離れたところに「丶」がありますが、何でしょう?

 この豆本の価格は1銭5厘です。
当時のかけ蕎麦、盛り蕎麦の価格が1銭程度でしたから、現在の感じではこの豆本は約600円というところでしょうか。
 現在は色とりどりあらゆる本が販売されているので比較はできませんが、手頃な価格でそこそこ楽しめ、貸し借りも簡単にできそうです。それなりに人気はあったような気がします。


2020年1月10日金曜日

豆本 猫のはなし その4




 P.2

(読み)
かつぶしやのいんきょの
かつぶしやのいんきょの

志さうねことらといふ
しそうねことらという

ねこといつ可ふ可いなか
ねこといつかふかいなか

とハなりた連ど可ハひ
とはなりたれどかわひ

がら連て
がられて


(大意)
鰹節屋の隠居の秘蔵猫、とらと言う猫と
いつか深い仲になってしまったのですが、
可愛がられて、


(補足)
 二階の窓から手燭をかざして逃げ去るこまを見つめているのはおこみさん。
「しあわせにおなり・・・」とささやいていそう。

 旧かな遣いで文章はわかりずらいです。
「志さうねこ」、秘蔵(ひぞう)猫。「ひ」を「し」と発音するのは江戸っ子ですが・・・
「ねこといつ可ふ可いなか」、「と」の一画目がとんでしまっています。その前の行の行末の「と」も同じです。「可」が三つありますが小さくてわかりにくい。
「とハなりた連ど可ハひ」、ここの「と」はちゃんと一画目があります。変体仮名「多」ではなくひらがなの「た」を使ってます。次の「れ」は変体仮名「連」です。次行の「連」も同じ。
「ハ」が二つあります。最初は助詞「は」ですが、次の「ハ」は旧い表記。

猫の大好物、鰹節屋というのがいいですね。

このページでは、こまの振り袖が手燭の明かりで見えています。



2020年1月9日木曜日

豆本 猫のはなし その3




 P.1

(読み)
こゝ尓
ここに

さる
さる

志んミち尓
しんみちに

可こひも
かこいも

のゝ
のの

おこミと
おこみと

いふものゝ
いうものの

うち尓こ満と
うちにこまと

いふて可゛いの
いうてが いの

ねこそのと奈り尓
ねこそのとなりに


(大意)
ここのさる新道に、囲い者のおこみという家に、こまという猫が飼われておりました。
その隣の、


(補足)
「しんみち」、新道。町家のあいだの細い道。小路。
「かこひもの」、囲い者。別宅などに住まわせておく女。妾(めかけ)。

助詞「尓」(に)が文章の区切りの目安になりますが、他はこれといった句切りはなく、前後を読みながら予想しなければなりません。

「ミ」(み)、なぜかはわかりませんが、「み」はカタカナ「ミ」がほとんどです。

猫の首にある、赤紐と鈴は、見返しの松にぶら下がっていました。

おこみさんの雰囲気がどことなく地味なのは気のせいでしょうか。
こまは両手をおこみさんの腿にのせ、にゃぁ~とないてるようです。


2020年1月8日水曜日

豆本 猫のはなし その2




 (表紙裏)見返し

(読み)
明治十九年十二月十四日            内 務省  交 付
めいじじゅうきゅうねんじゅうにがつじゅうよっかないむしょうこうふ

1947(削除一本線)  1958


(大意)
略


(補足)
 明治19年は西暦1886年、このときにはもう太陽暦なので日付はそのままです。
わたしの曾祖父さんは明治4年生まれでした。

 絵のど真ん中の丸印、「TOKIO」のようにも見えますがわかりません。

黒塀とその上の竹の柵は猫よけ?泥棒よけ?
松の枝から、鈴のついた赤い紐が垂れ下がっています。松の枝ぶりからするとかなり大きい。
神社のお賽銭のところにある鈴と紐のよう。
土蔵の壁の「左回り矢印」のような屋号はなんでしょうか。

塀(黒)、竹柵(黄)、紐(赤)と鈴(黄)、松(黄と緑)、蔵壁(白)、空(青)
日本の伝統的な色遣いです。
和食盛り付けの基本色でもあります。