P66 東京国立博物館蔵
(読み)
廿 一 日 曇 虎 の画を認 メ浮 フ瀬福 屋と云 茶 や
にじゅういちにちくもりとらのえをそたためうかぶせふくやというちゃや
ヘ遣 スよし亦 蒹 葭ヘ行ク馳走 春る薩摩(サツマ)の人
へつかわすよしまたけんかへゆくちそうする さつま のひと
天 文 を知ル人 来ル吾カ名を聞 て驚 く亦 十
てんもんをしるひとくるわがなをききておどろくまたじゅう
一 屋五郎兵衛と云 人 来ル楕圓(イヒツ)文 廻 シを新 製
いちやごろべえというひとくる いびつ ぶんまわしをしんせい
春と云フ
すという
廿 二日 雨天 十 一 屋五郎兵衛尼 カ﨑 屋五兵衛両
にじゅうににちうてんじゅういちやごろべえあまがさきやごへえりょう
人 吾 等をともなひ道 とん堀 芝 居を見 物
にんわれらをともないどんとんぼりしばいをけんぶつ
春雛 助 金 作 非人 敵 打 能狂 言 大 當 里
すひなすけきんさくひにんのかたきうちのきょうげんおおあたり
芝 居ハ江戸能繰(アヤツリ)芝 居程 なりさんしき両 方
しばいはえどの あやつり しばいほどなりさんじきりょうほう
ニ十 軒 宛 アリ幕(マク)両 方 より志める是 ヨリ新ン狂 言
にじっけんずつあり まく りょうほうよりそめるこれよりしんきょうげん
(大意)
略
(補足)
「廿一日」、寛政1年2月21日 1789年3月17日。
「浮フ瀬福屋」、江漢西遊日記三その16の往路ででてきた浮瀬とおなじところでしょうか。
「十一屋五郎兵衛」、「五郎」がわかりにくですけど、同じ名前が2行あとにでてきて、これは「五郎」の部分がよみやすい。やはりくずし字はそのときどきでいい加減です。
「吾カ名を聞て驚く」、大物ぶりたい江漢さんはいつでもどこでも自分を知らない人には少々腹を立て、そっけない態度。反対に知っていればうんうんとうなずいて満足。
「楕圓(イヒツ)文廻シ」、ぶん回しはコンパスのこと。コンパスのように楕円を描く器具。
「さんしき」、『さんじき【桟敷】→さじき(桟敷)に同じ』。『さじき【《桟敷》】さずき」の転〕
① 祭りや相撲などの興行物を見るために高く作った見物席。さんじき。
② 劇場で,平土間に対して左右に一段高く設けた席。桟敷席』
「幕(マク)両方より志める」、江戸ではもちろん片側からです。

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